胃重複症 gastric duplication cyst |
膵尾部とbeak signを示す単房性嚢胞。一部充実成分あり? |
▼ 上部消化管内視鏡、EUS |
・胃に明らかな圧排所見なし。
・EUS上、胃と病変との境界は明瞭。 ・ソナゾイド造影で内部に造影効果なし(非掲載)。 |
術前診断
リンパ上皮嚢胞 or 類上皮嚢胞 ?
→はっきりした診断を下すことができず…
→腹腔鏡下膵尾部切除術 施行
標本 |
56x40mm大 単房性嚢胞性腫瘤 |
病理組織検査 |
左:胃底腺を含む腺窩上皮で覆われている/右:膵組織と筋層が入り交ざった部位を認める。 |
組織診断:Suspicious of gastrointestinal duplication
消化管重複症(Gastrointestinal duplication) |
消化管重複症(Gastrointestinal duplication)の定義
➀消化管に近接すること。
➁消化管筋層に連続する平滑筋層を有すること。
➂内面が消化管上皮に覆われていること。
Ladd WE,Gross RE:Surgical treatment of duplication of alimentrary tract.
Surg Gynecol Obstet.1940:70:295-307.
成因
胎児の腸管発生における固形上皮形成段階の異常な再疎通
Gross RE,Holcomb GW Jr,Farber S:Duplication of the alimentary
tract.Pediatrics:1952:9:448-468
脊椎分離障害説
Veeneklaas GM:Pathogenesis of intrathoracic gastrogenic cysts.AMA Am J Dis
Child:1952:83:500-507
発症年齢:70%以上が20歳以下で発見
性差:なし
症状:無症状もしくは非特異的な症状(腹痛、腹部不快感など)
壁細胞の存在により消化性潰瘍 ⇒ 嚢胞破裂・出血が起こり得る
発生部位:小腸:45-50%, 食道:10-20%, 胃:3.8-10% ※重複胃は大半が大弯側で発生、単発、非交通性
治療:手術切除(腹腔鏡手術の報告が増えている)
考察 |
・術前に正しい診断に至るチャンスはあったのか?
・二つに分岐した膵尾部(Pancreas bifidum)
結語 |
画像所見上、膵嚢胞と鑑別困難な胃重複症を経験した。
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