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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第363回症例症例:呈示
第 363 回 東京レントゲンカンファレンス[2015年10月22日]
症例5 90歳代 女性
副神経鞘腫
accessory nerve schwannoma

 

 画像所見
     
図   図
単純CT
・延髄は右前方に圧排される
・小脳半球の間に嚢胞性腫瘤
 内部に高吸収の液面形成
  MRI T2強調像
・延髄周囲槽・左Luschka孔 近傍に進展
・多房性嚢胞性腫瘤
 内部に出血による液面形成
     
図   図
MRI T2強調像 矢状断
・上流の水頭症はない
・延髄・小脳を圧排しており
 延髄周囲槽〜大槽を主座とする腫瘤を疑う
  MRI 造影T1強調像 軸位断
・左頚静脈孔から連続する神経(?)
・多房性嚢胞の壁・隔壁に強い造影効果

 

 

 所見のまとめ

・延髄周囲槽〜大槽に3-4cm大の境界明瞭な嚢胞性腫瘤。
・T1WI:低〜等信号、T2WI:高度高信号、DWI:低信号。
・壁/隔壁に強い造影効果
・出血成分によるfluid-fluid level

 

 鑑別診断

延髄周囲槽の実質外腫瘍?もしくは 小脳腫瘍?を考える。

・Ependymoma 年齢が非典型的か
・Subependymoma 出血は頻度少ない
・Schwannoma 所見は脳槽腫瘍を疑う
・Metastatic tumor 既往はない
・Rosette forming glioneuronal tumor

 

臨床経過

・脳幹の圧排を認めており、適応ありと判断し手術が施行された。
・術中所見…
  ー腫瘤の被膜に左副神経が癒着していた
  ー迅速診断:変性を伴う神経鞘腫

 

最終診断 (左副神経由来の)神経鞘腫:Schwannoma of left accessory nerve

 

 考察:脳神経由来の神経鞘腫

脳神経の神経鞘腫は頭蓋内腫瘍の5-10%。その内のほとんどが前庭蝸牛神経由来で、 三叉神経、顔面神経、下位脳神経にも発生する。

副神経由来の神経鞘腫はrare
➀脳槽内
➁頚静脈孔
➂頭蓋外

 



参考文献

  • Krishnan SS. Journal of Neurosciences in Rural Practice. 2015;6:112-115.
  • Chowdhury FH. Journal of Neurosciences in Rural Practice. 2014;5:231-243.
  • Sarrazin JL. Diagnostic and Interventional Imaging. 2013;94:1051-1062.

 

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Moderator: 今井 祥吾