脳症を伴った溶血性尿毒症症候群 hemolytic uremic syndrome(HUS)with encephalopathy |
溶血性尿毒素症候群Hemolytic uremia syndrome(HUS) |
・溶血性貧血・血小板減少・急性腎障害を3 主徴とする症候群
・血管内皮細胞障害による血栓性微小血管障害
・腸管出血性大腸菌により産生されるベロ毒素が原因となることが多い(90%)
・典型的な例では、下痢出現後4〜10 日で発症する
・急性期の死亡率は2〜5%(脳症、消化管穿孔)
・治療は輸液、輸血、透析、血漿交換療法などが行われる。
HUS に伴う脳症
・HUS の20〜50%に発症する。
・典型的な例では、下痢などの初発症状の5〜7 日後に発症する。
・➀血管透過性の亢進、➁毒素の直接浸潤、➂血栓形成による梗塞・出血が原因と考えられている。
・➀、➁は可逆性、➂は不可逆性
・症状は、頭痛、傾眠、けいれん、意識障害、片麻痺、失語、不随意運動など
・全汎型、局所型 に分類される。
・局所型では、病変は基底核に多く、両側性の場合が多い
画像所見
・両側基底核に多い(続いて、視床、脳幹に多い)
・T2WIで高信号、T1WIでは低信号または高信号を示す
・急性期には拡散低下を示す場合あり
・可逆性病変が多いが、出血や梗塞を伴う場合もある
非典型溶血性尿毒症症候群Atypical hemolytic uremic syndrome(aHUS)
・ベロ毒素以外が原因となるHUS かつ、血栓性血小板減少性紫斑病でないこと
・全HUSのうち、約10%
・腸管出血性大腸菌感染が原因となるHUSより、急性期致死率が高い(25%)
aHUS の病因分類
・感染症:肺炎球菌 など
・補体制御因子異症:
先天性:補体蛋白の遺伝子変異: H 因子、 I 因子、MCP(CD46)、C3、B 因子、トロンボモジュリン
後天性:自己抗体産生
・コバラミン代謝異常症(発症生後6か月未満で考慮)
・DGKE 異常症
・その他
溶血性尿毒症症候群の診断・治療ガイドラインより引用,一部改変
まとめ |
・hemolytic uremic syndrome(HUS)は、溶血性貧血・血小板減少・急性腎障害を3 主徴とする症候群である。
・脳症では、病変は両側基底核に好発する。
・腸管出血性大腸菌感染以外が原因となるatypical HUS が10%ほど存在する。
参考文献