停留精巣由来の悪性混合性胚細胞種 Malignant mixed germ cell tumor arising from undescended testis |
鑑別診断 |
・脂肪肉腫
・悪性リンパ腫
・GIST
・リンパ節転移(精巣腫瘍など)
・平滑筋腫瘍
・神経原性腫瘍
精巣腫瘍(病態・疫学) |
・大きく胚細胞腫(90〜95%)と性索/性腺間質腫瘍に分類。
・欧米人、白人に多い(黒人に比べて5 倍*1)。
・日本では1〜2 人/10 万人程度。
・停留精巣(4.8 倍*2)、不妊症(2.4 倍*3)、特に精液検査に異常のある不妊症(20 倍*4)などのリスクがある。
他に家族歴や対側の精巣腫瘍の既往など。
*1:McGlynn KA et al. Risk factors for cryptorchism among populations at differing risks of testicular cancer.Int J Epidemiol. 2006; 35: 787-95
*2:Dieckmann KP et al. Epideiology of testicular germ cell tumors. World Journl of Urology. 2004; 22: 2-14
*3:Doria-Rose VP et al. Subfertility and the risk of testicular germ cell tumors. Cancer Causes Control. 2005;16: 651-6
*4:Raman JD et al. Increased incidence of testicular cancer in men presenting with infertility and abnormal semen analysis. J Urol. 2005; 174: 1819-22
絨毛癌、胎児性癌の特徴 |
絨毛癌
・出血性で壊死や出血巣をともなう。
・多くは他の組織型の出血部に絨毛癌成分として認められる。
・100%でhCG が増加。
胎児性癌
・充実性腫瘍だが出血や壊死を伴うこともある。
・管状、乳頭状、胞巣状、充実性など。
・90%でhCG またはAFP または両方が増加。
ROBBINS BASIC PATHOLOGY 7th edition; 817-825
検査・診断
・超音波検査(原発巣の評価、多くは低エコー領域として検出)
・良悪性の鑑別に超音波検査(カラードップラー)やMRIでのvascularity の検出。
・CT、MRI、PET(転移巣の検索、特異的な所見に乏しい。)
・腫瘍マーカー(AFP、hCG、LDH など)
がん診療ガイドライン 精巣腫瘍 診療ガイドライン: http://jsco-cpg.jp/guideline/25.html
Testicular Cancer: What the Radiologist Needs to Know. AJR:200, June 2013; 1215-1225
P U Dalal et al. Imaging of testicular germ cell tumours. Cancer Imaging(2006) 6, 124-134
Take home message |
・原発が分からない場合は、病変以外の部分もきちんと読影すること。
・病変から連続する構造物を追跡することが重要であることもある。
・本症例では明らかでないが、小児期の病歴も重要となることがある。
参考文献