先天性門脈体循環シャント+多発限局性結節性過形成 Congenital Portosystemic Shunt = Abernethy Malformation |
先天性門脈体循環シャント(Congenital Extrahepatic Portosystemic Shunt= Abernethy Malformation) |
・1793年 John Abernethyにより報告 ・Morganその他によりType1, Type2に分類 |
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Type 1 ・・・上腸間膜静脈、脾静脈の血流が肝に流入しない。 | ||
Type 1A:上腸間膜静脈、脾静脈が合流せずに下大静脈に流入 Type 1B:上腸間膜静脈、脾静脈が合流。肝外門脈が下大静脈に流入 |
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Type 2・・・上腸間膜静脈、脾静脈の血流の一部が肝臓に流入。 |
Type I | Type II |
肝内門脈の欠損 女性、若年発症 多数の奇形;多脾症、回転異常、先天性心疾患 |
肝内門脈血流の残存 性差なし、妊娠28週〜69歳 少数の奇形 |
合併症
<肝疾患>
・脂肪変性、萎縮
・肝性脳症
# 高齢者に多い。
# 小児の場合肝性脳症に対して抵抗性があり、無症状なことが多い。
# 60%以上のシャント率は肝性脳症の高リスクファクター
・肝腫瘍
Mistinova et al. 肝腫瘍の合併 35/83例
FNH(Focal Nodular Hyperplasia) 13/35
他、Hepatic Adenoma、Hepatoblastoma、Hepatocellular Carcinoma、Hemangioma など
Solitary FNH・・・血管奇形との関連なし
Multiple FNH・・・血管奇形(肝血管腫、毛細血管拡張症、門脈閉鎖)に関連
FNH発生の機序(仮説)
門脈閉鎖により肝動脈血流の代償性増加
⇒重要な肝再生因子、ホルモン因子の供給の変化
⇒細胞機能の変化、形態変化
その他の合併症 | ||
<心疾患> ・心房中隔欠損 ・心室中隔欠損 ・卵円孔開存 ・動脈管開存 ・Fallot四徴症 |
<泌尿器疾患> ・多嚢胞性異形成腎 ・腎盂尿管移行部狭窄 ・膀胱尿管逆流 ・交叉性融合腎 ・尿道下裂 |
<肺疾患> ・肝肺症候群 ・肺高血圧症 |
<胆道系疾患> ・胆道閉鎖症 ・総胆管嚢種 |
治療
本症例の経過
肺高血圧症に対し薬物療法施行。
肝障害、肝腫瘤に対し血液検査と超音波検査による経過観察中。
参考文献
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