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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第364回症例症例:呈示
第 364 回 東京レントゲンカンファレンス[2015年11月26日]
症例8 50歳代 男性
減圧症
decompression sickness
       
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門脈内ガス 腸間膜内のガス 後腹膜腔内のガス 脊柱管内のガス

 

 鑑別診断

門脈内ガス

#1. 腸管壊死
#2. 炎症性腸疾患
#3. 腸管感染症
#4.腹部外傷
#5.腸管気腫症(ステロイド、抗癌剤など)
#6.医原性(CF、バリウム注腸造影)

他にヒントは・・・
【現病歴】地下掘削工事にて90分間の土木作業をした。
作業終了2時間後より心窩部痛が出現。徐々に腹痛は軽減したが、腹部膨満、軽度の筋肉痛が生じ来院。頭痛、めまいなし。


作業環境
圧気土木作業:地下構造物を造る場合に、掘削による地下水の湧水を空気圧によって抑え、作業をしやすくするための工法
・Max 0.375MPa
・作業時間 90分
・減圧時間 129分


診断:減圧症 Decompression sickness

経過    
高気圧酸素治療を3回施行    
img img 翌日のフォローアップCTでは肝内門脈、脊柱管内、腸間膜内などのガスは消失
受診時 治療翌日  

 

 減圧症とは
 
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血液中に窒素ガスの気泡→気泡塞栓や組織圧迫

原因 ➀スキューバダイビング ➁圧気土木作業

分類
【T型減圧症(軽症)】
・関節、背部、筋の疼痛=ベンズ ←頻度高
・リンパ節腫脹、皮疹、掻痒感、疲労

【U型減圧症(重症)】
・脊髄型:麻痺、しびれ、刺痛、膀胱直腸障害 ←頻度高
・脳型:頭痛、意識障害、失明、不明瞭言語 ←まれ
・内耳型:めまい、耳鳴、難聴
・肺型(チョークス):息切れ、胸痛、咳

 

過去の報告
  ガスの部位 治療後のガス
Morita(2013) 門脈、腸間膜静脈、IVC 4名中3名は速やかに消失、1名は死亡したため未実施
Bird(2007) 門脈、IVC 治療後速やかに消失
Righihi(2010) 門脈、胃静脈 3ヶ月後のCTで消失
Koenig(2007) 門脈、IVC 治療後速やかに消失
Kondou(2014) 門脈 治療後速やかに消失
→ほとんどが治療後消失している


 Take Home Message

・減圧症は都心でも、特殊な場合(圧気土木作業など)で起こりうる。
・奇妙な静脈内ガス分布を呈する場合は減圧症を鑑別に入れるといいかもしれない。



参考文献

  • 柴山正治、駒沢女子大学 研究紀要、2009;16:79-86
  • 眞野喜洋、産業医学 Jpn J Ind Health、1987;29:271-278
  • 合志清隆、産衛誌、2008;50:31-33
  • 静岡済生会病院、静岡済生会総合病院医学誌 Vol.25 No.1、2015

 

 

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Moderator: 白川 陽子、松井 南美子