孤立性線維性腫瘍(眼窩発生) solitary fibrous tumor in the orbit |
Solitary Fibrous Tumor |
・間葉系細胞由来の spindle cell neoplasm。
・発生部位:大部分は胸膜発生だが、全身のどこにでも発生する。
・良性が80%、悪性が20%。
・治療は原則的に外科的摘出術。
・眼窩発生のSFTは、PubMed:報告61件(1994-2015) 東京レントゲンカンファ0件
典型的な臨床像
・無症状で経過し、平均2年間かけて緩徐に進行する片側性無痛性眼球突出、視力低下、眼球運動障害、眼瞼(眼窩)腫瘤触知など。
画像所見
・CT
類円形、境界明瞭で外直筋と等吸収域。
・MRI
T1強調像: 均一な灰白質と等信号。
T2強調像: 大部分は不均一な等〜低信号、一部で高信号。
→膠原線維を多く含む線維成分を反映。
高信号部分はvarious cellular component (hemorrage, myxoid, relatively flesh fibrous tissue etc. ) を反映。
MRI Study of Solitary Fibrous Tumor in the Orbit Ben T. Yang et al. AJR AM J Radiology 2012 Oct;199(4)
造影効果:均一もしくは不均一な強い造影効果を呈する。早期濃染-washout パターンや漸増性の造影パターンの報告がある。
→腫瘍の細胞間質が豊富な部分は早期濃染-washout パターン。
線維成分が主体の部分は漸増性の造影パターン。
Value of MR imaging in differentiation between solitary fibrous tumor and schwannoma in the orbit.
Zhang Z et al. AJNR Am J Neuroradiol. 2013 May;34(5):1067-71
DWI, ADCmap:良悪性の鑑別に有用とされるが、現在まで有効な報告はない。
病理所見
・光顕的には紡錘形細胞の増殖を主体とし、紡錘形細胞と膠原線維が不規則な配列をとるpatternless patternが特徴的。
・免疫組織学的染色でCD34に強陽性、vimentin、Bcl-2や第[因子に弱陽性。
眼窩内孤立性線維腫に対して術前動脈塞栓を併施し外切開による摘出を行った1例 岸本 逸平ら. 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 117 (2014) No. 12
鑑別疾患 |
・神経鞘腫
・海綿状血管腫
・炎症性偽腫瘍
・悪性リンパ腫
・転移性腫瘍
・capillary hemangioma
・neurofibroma
・fibrous histiocytoma
・(hemangiopericytoma)→病理学的に類縁疾患と考えられている。
Solitary fibrous tumors and hemangiopericytomas of the meninges: Overlapping pathological features and common prognostic factors suggest the same spectrum of tumors. Bouvier C, et al.: Brain Pathol 2012 Jul;22(4): 511-21
他疾患との鑑別
・典型的な造影パターンをとる。
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・眼窩腫瘍でT2強調像で低信号を示す腫瘍を見たら、SFTを考慮する。
・dynamic造影MRIで特徴的な造影効果を示し、他疾患との鑑別が可能な疾患と考える。
参考文献