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第 365 回 東京レントゲンカンファレンス[2016年1月28日]
症例2 20歳代 男性 : 左腓腹部につっぱり感、腫脹を自覚。徐々に増大。
胞巣状軟部肉腫
alveolar soft part sarcoma


 Alveolar Soft Part Sarcoma (ASPS)

・ASPSは1952年にChristophersonらによって初めて「胞巣状軟部肉腫」と命名された
・発生起源が不明な軟部肉腫の一種

疫学
・APSPは小児〜若年者に発生する腫瘍で、全ての軟部肉腫のうち0.5-1%を占める
・緩徐に増大する無痛性の腫瘤
・好発部位(成人:下肢、臀部  小児:頭頸部

疫学(転移、再発)
・初診時に3割に転移を伴い、肺、脳に多い
完全切除後の局所再発率は少ない
・初診時に転移のない場合の5年生存率は60〜87%

予後良好因子
・転移なし
・腫瘍サイズ(<5cm)
・骨浸潤なし

マクロ所見
・境界不明瞭な腫瘤
・内部に広範囲の壊死、出血
・腫瘍を栄養する拡張した蛇行血管

CT所見
筋よりもやや等〜低吸収な腫瘤
しばしば境界明瞭
・著明な造影効果
拡張し、蛇行した栄養血管
75%に内部壊死

MRI所見
・T1WI 筋よりも高信号
 –部分的なT1WI著明高信号
・T2WI 筋よりも高信号
 –通常は不均一
 –辺縁に拡張した蛇行血管
・造影T1WI
 –著明な造影効果、蛇行血管

治療
・転移のない場合
–完全摘出
・転移のある場合
 –有効な標準治療は現在なし
 –通常の化学療法はほぼ無効


 Take home messages

・若年者の下肢、頭頸部の無痛性腫瘤
T1WI高信号、極めて多血性、拡張・蛇行血管
・初診時に転移を疑う




参考文献

  • Lorigan JG, AJR Am J Roentgenol. 1989 Aug;153:335-9.
  • Ekfors T, Cancer. 1979 May;43:1672-7.
  • Lieberman PH, Cancer. 1989 Jan 1;63:1-13.
  • Portera CA Jr, Cancer. 2001 Feb 1;91:585-91.
  • Iwamoto Y, Skeletal Radiol. 1995 May;24:267-70.
  • Ogose A, Oncology. 2003;65(1):7-13.