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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第365回症例症例:呈示
第 365 回 東京レントゲンカンファレンス[2016年1月28日]
症例5 70歳代 男性
血管周囲類上皮細胞腫
perivascular epithelioid cell tumor

 

 鑑別診断

・肝細胞腺腫
・肝黄色腫
・AML

 

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・背景肝は高度脂肪肝。
・腫瘍内には泡沫組織球浸潤と脂肪滴沈着を認める。
・太い血管が不規則に増加し、脂肪滴の隙間を埋めるように紡錘形細胞が入り込んでいる。
・免疫染色でHMB45,MelanAがともに陽性。

 

診断:PEComa(Perivascular Epithelioid Cell Tumor)

 

 PEComa

【概要】
・PEComaは多分化能を有するPerivascular epithelioid cell(PEC)由来の腫瘍の一群
・肝PEComaは女性に多く、多くは無症状だが、右季肋部痛等の症状を来すこともある
・肝AMLは組織学的に血管、平滑筋、脂肪組織で構成されるが、その割合は様々
・PEComaの定義はいまだ確定的でなく、平滑筋成分主体の肝AMLをPEComaと呼称する場合あり
・病理組織学的にはepithelioid cellが顕著に見られる免疫組織化学法で、HMB-45や平滑筋のマーカーであるSMAが陽性が特徴
・良性腫瘍だがまれに悪性化・転移することもある

【画像所見】
・超音波では内部均一でやや高エコーを呈する
・単純CTでは均一で低〜等吸収を呈することが多い
・石灰化の報告は少ない
・造影後は動脈相でリング状に濃染し、平衡相で遷延した例、早期濃染/後期washoutを呈した例など様々HCCとの鑑別が困難な場合がある
・Drainage veinは肝静脈
・T1WIで均一な低〜等信号、T2WIでは低〜高の不均一
・Chemical shift imagingは脂肪成分の検出に有効
・造影パターンはCTと同様で、脂肪成分の部分も含めて増強される点で高分化型HCCと異なる。被膜も持たない
・増大や縮小する場合あり、組織構成の変化により画像所見が修飾される



参考文献

  • H Q SHENG et al. MRI diagnosis of perivascular epithelioid cell tumor (PEComa) of the liver. Rom J Morphol Embryol 54(3):643−647, 2013.
  • R Akitake et al. Perivascular Epithelioid Cell Tumor (PEComa) of the Liver Diagnosed by Contrast-enhanced Ultrasonography. Inter Med 48: 2083-2086, 2009.

 

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Moderator: 戸田 悠介