多発性血管炎性肉芽腫症 granulomatosis with polyangitis |
多発血管炎性肉芽腫症(GPA; granulomatosis with polyangiitis) |
・上気道、肺、腎を主として侵す壊死性肉芽腫性血管炎2)。
・好中球細胞質抗体(ANCA;antineutrophil cytoplasmic antibody)の関与が示唆されている3)。
特にPR3-ANCAの陽性例が多い2)。
頭頸部領域のGPA画像所見
・肥厚性硬膜炎
・脳神経の造影効果
・脳実質内外の肉芽腫形成
・骨破壊を伴う鼻・副鼻腔炎
・血管炎に伴う虚血・梗塞
・視神経炎・視神経周囲炎
・可逆性後頭葉白質脳症
・下垂体病変
・迷路炎
GPAの脳神経障害
・GPAにおける末梢神経障害の頻度は 11–44 %4)。
・GPAにおける脳神経障害は稀で 2-10 % 4)。
・原因不明なことが多いが、局所の肉芽腫形成または血管炎性の機序が考えられる4)。
・肉芽腫性の硬膜炎に合併することが多い4)。
・MPO-ANCA陽性のGPAでは多発の脳神経症状が初発であることがある5)。
・早期診断、早期のステロイド治療がよりよい予後に重要である5)。
GPAに伴う脳神経障害の内訳4)
脳神経II、VII、VIIIが障害されやすい
頸動脈間隙の解剖6)
内頸動静脈、脳神経IX・X・XI・XIIが走行
鑑別 |
頸動脈間隙にみられる病変:腫瘍性病変or炎症性病変
腫瘍性病変
【良性腫瘍】
・神経原性腫瘍
(傍神経節腫、神経鞘腫など)
・髄膜腫
・SFT etc…
炎症性病変
・リンパ節炎:結核、SLEなど
・膿瘍
・炎症性偽腫瘍
・GPA(Wegener肉芽腫症)
・サルコイドーシス etc…
頸動脈間隙の悪性腫瘍8)
1)上咽頭癌
・直接浸潤
・リンパ節転移
2)悪性リンパ腫
ほか、
転移性腫瘍、横紋筋肉腫etc…
TAKE HOME MESSAGE |
・頭蓋底の病変は見逃されやすい
・頭蓋底病変では腫瘍性病変以外にもGPAなどの炎症性病変も考慮する。
参考文献