寄生筋腫(モルセローマ) parasitic myoma(morcelloma) |
鑑別診断 |
・腹腔鏡手術後のparasitic myoma
・卵巣悪性腫瘍などの腹膜播種
–×腹壁内腫瘤
・Desmoid tumor
–○腹壁内+腹腔内腫瘤、手術歴、25-40歳女性
–×局所浸潤、腹腔内病変の多くはFAPと合併
Parasitic myoma |
子宮筋腫が子宮から離断され異所性に生着したもの
・自然発生
–有茎性漿膜下筋腫が茎部で捻転して離断し、周辺臓器から血管新生を誘導する
・医原性
–腹腔鏡下手術後、腹腔内に残存した筋腫片が生着する
–近年腹腔鏡手術の普及に伴い増加: “morcelloma”
Cohen DT. Am J Roentgenol. 2007 Jan;188:246-55.
Giovanardi G. CRSLS e2013.00239.
Huang PS. Taiwan J Obstet Gynecol. 2014 Sep;53(3):392-6.・平均40.8歳(24-57歳)、85.5%は閉経前
・症状:腫瘤触知、腹痛/骨盤痛、性交痛、腹部膨満、頻尿、便秘 or 無症状(21.7%)
・初回手術から診断までの期間:平均48ヵ月(1-192ヵ月)
・平均2.9個(1-16個)、 平均5*2cm(0.2-30cm)
・骨盤内(とくにダグラス窩)が多く、しばしば消化管、大網、ポート部、腹腔腹膜にも生じ、腸間膜、肝、胆嚢、横隔膜にも報告あり
・10.1%は完全切除のために大網/虫垂/腸管切除を要する
Van der Meulen JF. BJOG. 2016 Jan;123(1):69-75.
Huang PS. Taiwan J Obstet Gynecol. 2014 Sep;53(3):392-6.・リスク因子
–Morcellation: 頻度0.12-0.95%(筋腫核出術では 0.20-1.25%)*
–年齢<40歳**
–性ホルモンへの暴露(補充療法など)も関与?*
・予防***
–体位変換しながらしっかり腹腔内洗浄
–鋭利なブレードの使用
–エンドバッグの使用(脆い筋腫の場合)
*Van der Meulen JF. BJOG. 2016 Jan;123(1):69-75.
**Tan-Kim J. Am J Obstet Gynecol. 2015 May;212(5):594.e1-10.
***Huang PS. Taiwan J Obstet Gynecol. 2014 Sep;53(3):392-6.・画像所見は子宮平滑筋腫と同様
・切除後再発する場合もある
・ホルモン感受性を有し、閉経(自然or手術的or内分泌療法)後、腫瘍サイズが変化しない、または縮小する場合がある
・症候性や、重要な構造物との衝突あれば手術を考慮
Cohen DT. Am J Roentgenol. 2007 Jan;188:246-55
Take home message |
・筋腫術後、腹腔内や腹壁に境界明瞭な充実腫瘤を見たらParasitic myomaを鑑別に挙げる
・morcellatorの使用がリスク因子となる
・腹壁ポート部の病変を見逃さない
参考文献