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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第368回症例症例:呈示
第 368 回 東京レントゲンカンファレンス[2016年5月19日]
症例1 0歳代 男児
Leber 遺伝性視神経症
Leber's hereditary optic neuropathy

 

視交叉から視交叉後視索
・両側性に対称性にT2WI/FLAIR高信号
・視索やや萎縮、視交叉は保たれる
・T1WI(-)、DWI(-)細胞性浮腫なし
・造影T1WI、BBB破綻、新生血管増生なし

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球後部視神経
・T2WI中心性にわずかに高信号

大脳、小脳脳幹、上位頸髄に異常なし

 

 鑑別診断 ─8歳男児、視力低下─
 
鑑別診断(両側視神経炎)
・炎症
・遺伝性
・感染
・血管
MS、NMO、ADEM
LHON(Leber’s Hereditary Optic Neuropathy)
Lyme病、トキソプラズマ、HIV
虚血性視神経炎、CRAO、CRVO

 視交叉〜後視索、両側性視神経炎
  ・現在活動性炎症なし
  ・長期進行性の経過→脱髄のみならず軸索障害も疑う

http://radiopaedia.org/articles/optic-neuropathy

 

 急性散在性脊髄炎 ADEM: acute disseminated encephalomyelopahy

・急激に発症する多彩な神経症状
 ー痙攣
 ー発熱
・視神経炎
 ー両側性:(MSは片側性が多い)
 ー再発例は視神経炎が多い
 ー成人例は先行感染少なく、
   視神経症状、頭痛、発熱、急性髄膜炎症状まれ(感覚障害)

 

 眼科理学所見

・視力: RV = 0.004 (nc), LV = 0.03 (nc)
・瞳孔反応異常なし、前眼部,中間透光体、眼底とも異常なし
・ゴールドマン視野:中心5度のV/4暗点

眼底・蛍光眼底造影
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視神経乳頭正常。乳頭萎縮、炎症なし
蛍光眼底造影で漏出なし

 

 MR後の経過

・ADEM等の脱髄、球後視神経炎を考えソルメドロール500mg、3日間パルス施行 → 視力回復(-)
・20日後、再度MR施行するも変化なし

・遺伝子検査にて、
 ミトコンドリアDNA11778番目の塩基に変異が検出(グアニン→アデニン)

 

Leber 遺伝性視神経症 LHON: Leber’s Hereditary Optic Neuropathy

 

 LHON: Leber’s Hereditary Optic Neuropathy

・思春期〜成人(10-20歳代)
・男性(80-90%)
両側性
急性〜亜急性の視力低下
・1/25000(英)
数ヶ月から1年以内に高度の視神経萎縮
  ー強い中心暗点→視力0.1以下

Chinnery PF et al: Ann Neurol 2000:48:188-93.
青木優典: あたらしい眼科31(8):1227-1231

・病態
ー網膜神経節細胞retianal ganglion cell
ー軸索axon
が変性・脱落

・遺伝性疾患(母性遺伝)
ー末梢血ミトコンドリアDNA塩基の点突然変異
→NADH脱水素酵素(電子伝達系)の異常

・治療
ーストロイド無効
ーイデベノン®(酸化的リン酸化過程に関与するコエンザイムQ10誘導体)

 

認定基準
・主徴候
➀ 急性〜亜急性、両眼、無痛性視力低下と中心暗点。通常は片眼発症、数週〜数か月で対側も発症
➁ 急性期に視神経乳頭、発赤・腫脹、毛細血管拡張蛇行、網膜神経線維腫大など検眼所見
➂ 慢性期に乳頭黄斑線維束を中心とした視神経萎縮
検査所見
➀ ミトコンドリア遺伝子変異(3460, 11778, 14484が大半)
➁ 急性期、CT/MRI球後視神経異常(-)
➂ 蛍光眼底造影→毛細血管から蛍光色素漏出(-)。視神経乳頭腫脹

 3主徴候と検査所見3つの該当数に応じ、
 確定例、確実例、疑い例、保因者に区分

日眼会誌 119巻 5号

 

1)主徴候
 1.無痛性視力↓中心暗点
 2.検眼所見
 3.視神経萎縮

2)検査所見
 1.遺伝子変異
 2.球後視神経異常(-)
 3.蛍光色素漏出(-)

確定例
 ー1) 1&2 or 1&3
 ー2) 1-3すべて

確実例
 ー1) 1 or 3
 ー2) 1と2

疑い例
 ー1) 1 or 3
 ー2) 3 かつ

   ・母系遺伝が家族歴で明らか
   ・だが遺伝子変異は検出(-)

保因者
 ー上記患者を母系血縁で有す
 ー2) 1に該当する他視機能障害
   ・2)の2に反してよい

 実際の症例報告では、 球後視神経炎は多く見られる

 

 

 LHON: the relationship to multiple sclerosis

・MS合併例がある
・Harding syndrome
・視神経障害あるMS患者
 ー2%にLHON遺伝子異常
 ー頭蓋内のみステロイド反応性
 ー視神経は難治性
・All LMS and 26% LHON
 ーhad white matter lesions
・Risk factor: female

 遺伝子異常が、何らかの経緯でOligodendrogria
 異常きたし、MS様を呈す??

Matthews L, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2014;0:1–6
臨床神経学 52巻2号(2012:2)

 

 

 Take home point

・小児〜若年男性の視交叉浮腫、球後視神経炎
・両側性、難治性なら → Leber病も鑑別診断のひとつに



参考文献

  • 難病情報センター Leber 遺伝性視神経症認定基準
  • Matthews L, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2014;0:1−6
  • Journal of Neurology 1989;52:671-674

 

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Moderator: 内山 史也