脾症 splenosis |
CT 所見まとめ |
Dynamic contrast enhanced CT | ||
単純 | 動脈相 | |
門脈相 | 平衡相 | |
・脾臓があるべき部位に分葉状の腫瘤性の構造を認める。
・肝 S6 に接して三日月様の境界明瞭な腫瘤性病変を認める。肝臓との間に脂肪層が介在しているように見える。Dynamic contrast enhanced CT では動脈層で縞状の造影増強効果があり、その他の相では脾臓と考えられる構造と同様の造影増強効果が見られる。
・骨盤内(膀胱直腸窩近傍)にも境界明瞭な円形腫瘤性病変を認める。
・多発する腫瘤様の病変の分布としては腹腔内(播種様)
CT 所見(その他)
・肝臓の辺縁は凹凸不整。
・左胃静脈、食道静脈・傍食動静脈の拡張と蛇行。
・肝臓に結節状の小さな造影不良域の多発。動脈相で造影増強効果を伴う病変なし。(嚢胞や再生結節の疑い。Micronodular type よりアルコール性?)
・明らかな viable HCC を認めない。
・胆石。
・両側大腿骨頭の圧潰。
・胸水・腹水
CT 撮影時の鑑別診断
・肝硬変、門脈圧亢進症。
・腹腔内の多発する腫瘤性病変については非典型的な HCC と播種, 脾摘出後である場合は splenosis が鑑別に挙げられた。
既往歴:交通外傷で脾損傷、脾摘出術後
精査目的で造影 MRI (SPIO)が撮影された。
MRI(SPIO) 所見まとめ |
造影 MRI (SPIO) | ||
In phase | Out phase | |
T2WI | SPIO -T2WI | |
・CT 同様に脾臓があるべき部位に分葉状結節および肝 S6 に接して三日月状の腫瘤を認める。
・SPIO 投与後に脾臓があったと部位の分葉状結節および肝 S6 に接する腫瘤性病変の信号は T2WI で低下している。
・CT で見られていた小さな造影不良域は T1WI で中間〜高信号、T2WI で中間信号〜やや低信号となっている。 Long TE で一部に blooming が見られる。
診断
・アルコール性肝硬変 (Child C)
・Intraabdominal splenosis
Splenosis |
・外傷や手術により脾組織の一部が播種され、他部位に着床し、発育したもの。
・腹腔内以外にも胸腔内、肝、膵、腎、創部皮下等の報告例もある。
画像所見
・円形、楕円形、分葉状、三日月状等様々な形態のものが見られる。
・脾臓と同様の吸収値・造影増強効果を示す。
・網内系を有するため、SPIO 造影 MRI で信号低下や 99mTc スズコロイドシンチグラフィで集積を認める。
鑑別診断 |
・悪性腫瘍の播種
・原発性の腹膜腫瘍
が鑑別に挙げられるが、脾外傷・手術の既往歴が鑑別のポイントとなる。
結語 |
腹腔内に多発する腫瘤性病変が見られた場合、脾臓の外傷歴や手術歴が考えられる場合 splenosis が鑑別に挙げられることが重要と考えられた。
参考文献
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