肝外発育型肝細胞癌 hepatocellular carucinoma (HCC), extrahepatically growing |
所見のまとめ |
CT: | 肝外側区から連続し突出する57mm×22mm大の腫瘤動脈相で濃染、平衡相でwashoutする。 肝表面、腹腔内には多数の染まり抜け結節。 |
EOB-MRI: | 肝外側区から突出する病変、肝表面・腹腔内多発結節。 いずれもT2淡い高信号。拡散制限あり。 Dynamic studyでは、動脈相で濃染、平衡相で washout 肝細胞相で取り込み欠損 |
鑑別診断 |
・肝細胞癌(肝外発育型)
・異所性副脾
・腹膜癌、腹膜播種
・類上皮血管内皮腫
・血管腫
・AFP産生腫瘍
・肝細胞癌(肝外発育型)
・異所性副脾:経時的変化はない
・腹膜癌、腹膜播種:原発巣を疑う所見はない。
・類上皮血管内皮腫:被膜陥凹所見(capsular retraction)が特徴とされる。
・血管腫
・AFP産生腫瘍
診断: 肝外発育型(肝外突出型)HCC
臨床経過 |
腹腔鏡下肝S2部分切除+播種結節摘出術
術所見:肝左葉から茎状に突出、副葉発生の腫瘍疑い
病理診断:Combined hepatocellular and cholangiocarcinoma
Combined hepatocellular and cholangiocarcinoma, 35x80x8mm,
Fc (+), Fc-inf (+), Sf (+), s0, Vp1, Vv0, Va0, B0, sm (-), f0, pT3
所見:
Macro 約20mmの茎用部分を持つポリープ状に肝から突出する病変
Micro 腫瘤部では線維性結合織で囲まれた2つの結節
先端側は細胞質の乏しい類円形の腫瘍細胞が中索状・胞巣状に配列。
小腺管構造が混在。
hepatocyte-1、AFP陽性細胞が散在、CK19 (-)
管状配列部位はCK7 (+)
切除縁側は、中分化型腺癌の所見。一部にCK7(+)細胞あり。
c-kit陽性細胞 少数散在
播種結節は圧挫が強く、評価困難。
肝外発育型HCC |
1891年 Cristianiが報告
分類(Ichikawaら 1984年)
A 異所性発育型
本来の肝臓と全く連絡が絶たれているもの
B 肝外発育型(狭義)
a) 有茎性:腫瘍と肝との間に茎が存在。
肝外に存在する腫瘍の最大径が腫瘍茎より大きい。
組織学的には、茎の部分には腫瘍はない。
b) 肝外突出型:肝内に腫瘍の一部があり、連続性に進展して腫瘍の大部分が肝外に突出。
発生機序
副葉、肝被膜下のGlisson鞘内への迷入肝組織、Riedel葉、肝硬変の突出部 からの発生
周囲臓器との関係
有茎型 多臓器への癒着。浸潤しやすい 寄生動脈
肝外突出型 関内浸潤、娘結節が見られやすい
治療・予後
有茎性 間の切除範囲は僅少でよいが、多臓器浸潤に対しての合併切除
肝外突出型 肝の切除範囲を十分にとることが必要。十分な切除範囲が取れれば、予後は良い
Take Home Message |
・肝外突出性病変、特に横隔膜に沿って進展する病変はaxial画像での診断が難しいので注意が必要。
参考文献
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