膵神経鞘腫 pancreatic schwannoma |
画像所見 |
全体像
・膵鈎部で上腸間膜静脈に接する充実成分主体,境界明瞭な円形腫瘤
・Vascularityは低い
【CT】
・中心部にtarget状の漸増性造影増強効果
【MRI】
・T2WIで辺縁高信号,中心部は不均一な低信号のtarget状構造
【US】
・不均一な低エコー(辺縁部に低エコー)
鑑別診断 |
・神経鞘腫
・神経内分泌腫瘍
ー変性を伴う神経内分泌腫瘍にしては多血性部分がまったくみられず、辺縁のenhancing rimもみられない
・Solid pseudopapillary neoplasm
ー好発:若年女性の膵尾部
ーSPNの嚢胞は出血によるとされるが、出血を示唆する所見がない
神経鞘腫に特徴的な所見 |
・Target appearance/Black geode sign
ー外側から内側にかけて、線維性の被膜、Antoni B成分、Antoni B成分、嚢胞/出血変性などの成分が同心円状の層構造をなす
・Thin hyperintense rim
ー辺縁部にT2WI高信号の領域
・Central enhancement
ー中心寄りの層に遷延性の造影増強効果
これらの所見を踏まえ、本症例では、神経鞘腫の可能性を強く疑い、臨床・病理に伝えることで、低侵襲な処置(EUS-FNA)による確定診断が可能となり、不必要な手術を避けることができた
膵神経鞘腫の発生部位 (n=47) |
局在 | 報告数 (%) |
頭部 | 19(40%) |
鉤部 | 6(13%) |
頭体部 | 3 (6%) |
体部 | 10(21%) |
体尾部 | 7 (15%) |
尾部 | 2(4%) |
Moriya et al. World J Gastroenterol. 2012;18:1538-1544
Take home messages |
Target appearance/Black geode sign
・良性神経原性腫瘍を示唆する特異度の高い所見。(ただし感度は低い。)
・臨床情報・発生部位等の情報を合わせれば、神経鞘腫の診断は可能であり、不要な手術を避けることができる。
参考文献