成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化、G-CSF 産生腫瘍 squamous cell carcinoma arising in mature teratoma,G-CSF producing tumor |
画像所見 |
【MRI所見】
・骨盤内に壁の造影効果を伴う脂肪含有の腫瘤性病変
・腫瘍後壁には造影効果を伴う充実成分が存在 →成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化
・腫瘍は直腸と広く接している →直腸浸潤
・腫瘍内にair →直腸穿通
MRI(7月中旬) ▼ T1WI/FS-FSPGR/DWI(B=1000) |
▼ FS-FSPGR/FS-FSPGR Gd/FS-FSPGR Gd Sag |
▼ T1WI/T2WI |
【CT所見】
・石灰化を伴う骨盤内腫瘤
・背側への浸潤と直腸穿通 →成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化
・腫瘤内のair増加し、脂肪が減少、腫瘍は全体に縮小 →穿通により脂肪成分が排泄された
造影CT(7月下旬) |
【追加:MRI所見】
・骨盤骨の信号が低下している →骨髄病変?
▼ T1WI |
病理所見 |
Squamous cell carcinoma arising in mature teratoma, with invasion to the rectum, G-CSF(+) |
最終診断:
・成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化(扁平上皮癌)
・G-CSF産生腫瘍
経過 |
成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化 |
・成熟嚢胞性奇形腫の0.17-2%
・閉経後女性
・80%以上が扁平上皮癌(他、カルチノイド、腺癌)
Andreas Hackethal, et al.: Lancet Oncol 9: 1173-80, 2008.
Lisa Dos Santos, et al.: Gynecologic Oncol 105: 321-324, 2007.
【成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化: 画像所見】
@腫瘍内の充実成分
造影効果と拡散制限
* Rokitansky結節:成熟嚢胞性奇形腫でも見られる
A壁外進展・直接浸潤
扁平上皮癌の進展様式
Aki Kido et.al.: AJR 172(2) 445-449, 1999.
竹内 麻由美ら: 画像診断 34(6) 599-609, 2014.
【G-CSF産生腫瘍: 疫学など】
・Granulocyte - colony stimulating factor
・肺癌が最も多い
・診断基準
@他に原因のない著明な白血球増多
A血清中のG-CSF活性の上昇
B腫瘍切除後の白血球数低下
C腫瘍組織内のG-CSF産生証明
吉野 干城ら: 泌尿器科紀要 54(12): 775-778, 2008.
【G-CSF産生腫瘍: 画像所見】
・造血髄↑ 脂肪髄↓→T1WIでの骨髄信号の低下
・FDG-PETでのFDGの集積
*びまん性骨転移や血液疾患との鑑別が困難
中出 恭平ら: 産婦人科治療 103(5): 565-568, 2011
Take Home Message |
・成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化に注意する
・異常な白血球増加を伴う腫瘍はG-CSF産生腫瘍を考慮に入れる
・MRI T1WIで骨の信号変化に着目する
参考文献
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