好酸球増多症候群 hypereosinophilic syndrome |
画像所見のまとめ |
・びまん性肝腫大、高度なperiportal collar(T2WI・DWI で高信号)
・肝辺縁優位に単純CT で低吸収、T2WI で高信号の小結節も認識される
・肝門部〜肝十二指腸間膜のリンパ節腫大
・副鼻腔に軟部組織が充満、高吸収部分が目立つ
・びまん性気管支壁肥厚、気管支血管束沿いの濃度上昇
・縦隔リンパ節腫大
好酸球増多症候群(臨床診断) |
・末梢血好酸球増多(33790 コ/μl(73.3%))
・【骨髄スメア】軽度の過形成骨髄。好酸球が著明に増多。好酸球自体の異形は目立たない。
・ステロイド内服で症状・データは速やかに改善
・染色体や遺伝子異常を否定
・好酸球増多の原因を以下のように否定
-アレルギーはスギのアレルゲンのみ(+), IgE 正常
-寄生虫虫卵(-), 感染巣(-)
-腫瘍(-)
-全身状態良好、P-ANCA(-)、神経所見(-) → EGPA 否定的
・末梢血好酸球増多(1500 コ/μl)が6 か月以上持続
・好酸球による臓器浸潤がある
好酸球性副鼻腔炎の画像所見
・鼻副鼻腔内にびまん性の高度軟部組織陰影
-後篩骨洞・嗅裂に優位
-下鼻道は保たれる
・アレルギー性ムチンを反映して内腔にCT で高吸収、T2WI で低〜無信号の構造物
・鼻腔ポリープの存在
・副鼻腔骨壁にpressure erosion
頭頸部の臨床画像診断学 p73-6
画像診断まとめ(ホームページ)
日鼻誌 2012; 51(1): 41-4
耳展 2001; 44(3): 195-201急性好酸球性肺炎の画像所見
・広義間質の肥厚
・すりガラス状影、浸潤影、小粒状影
・胸水、軽度の縦隔リンパ節腫大
FEN (focal eosinophilic necrosis) |
・Eosinophilic necrosis / abscess / infiltration / granuloma など、様々な呼称
原因
-特発性、寄生虫、薬剤、アレルギー、膠原病、悪性腫瘍(ホジキン病、肺癌、胃癌、膵癌、卵巣癌・・・)
⇒ 末梢血好酸球増多があっても転移との鑑別が問題になる
・韓国に多く、FEN の報告のほとんどが韓国から
-生の牛肉を食すことで、toxicara canis に感染するため?
・病理
-血管(特に門脈、類洞、中心静脈)周囲の好酸球(、他に組織球、好中球、リンパ球、巨細胞)浸潤
-肝実質壊死
FEN の画像所見
・多発結節
・特に被膜下、門脈周囲
・小さい(<2cm)
・円形・楕円形、不整形
−非球形が転移との鑑別点との報告も
・境界がはっきりしない
・低エコー
・典型的には門脈相で最も明瞭で、均一な軽度低吸収
−Ring enhance がないことが転移との鑑別点
・動脈相での所見は多彩、正常肝と等吸収のことが多い(正常肝より染まる報告も)
AJR 2006; 186: 168-73・葉・区域・亜区域パターンの報告(7例、全例肝生検で診断)
・辺縁優位、楔状〜地図状
・境界は直線状〜ギザギザ
・門脈相で最も明瞭で、均一・不均一な低吸収
・門脈の狭小化(2例)← 門脈周囲炎、門脈の血栓性静脈炎
KJR 2000; 1: 98-103・肝腫大や不整形の低吸収域とともに、肝内門脈周囲に低吸収域、T2WI での高信号域が報告されて
いる
Take Home Points |
・periportal collar が主たる肝所見であるFEN と思われる症例を経験した
・FEN の基本的な画像所見は門脈相で最も明瞭な“多発小結節”でperiportal collar の報告はほとんどないが、病理学的には好酸球浸潤は門脈周囲が主体であり、periportal collar を呈してもよいように思われる
・副鼻腔や肺などの随伴所見が参考になる
・末梢血好酸球増多は参考になるが、転移との鑑別は慎重に!
参考文献