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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第374回症例症例:呈示
第 374 回 東京レントゲンカンファレンス[2017年2月23日]
症例1 50歳代 男性
紡錘形細胞脂肪腫
spindle cell lipoma

 

 

 肉眼所見

 皮膚生検で明らかな悪性所見認められなかったが、
 5mm〜2cmのマージンをつけ全摘。


 

 黄色が脂肪組織。その他が繊維組織。


HE染色 40倍 HE染色 200倍 免疫染色 CD34 200倍
ピンク色が繊維成分。
脂肪との比率は場所によって異なる。
ピンク色の紡錘形の細胞を認める。
ピンク色が薄くなっているところは
粘液がある。赤いのは血管。
CD34陽性

 

 spindle cell lipoma(紡錘形脂肪腫)

・脂肪腫の亜型。
・男性に多い。
・好発年齢は45〜65歳。
・好発部位は後頸部、背部、肩の皮下。
・無痛性の良性腫瘤であり、緩徐に増大する。
・病理所見は成熟脂肪細胞とコラーゲン産生性の紡錘形細胞、肥満細胞、リンパ球、粘液成分、血管成分などからなる。
・免疫染色でCD34陽性。
・MRIでは腫瘍の境界は明瞭で、脂肪組織を25〜75%同定することができる。
・脂肪以外の充実成分はT1強調像で筋肉と等信号、T2強調像で等信号〜高信号を呈し、造影検査で濃染される。
・鑑別は高分化脂肪肉腫や粘液型脂肪肉腫。
・脂肪肉腫と画像所見が似ているので、臨床所見を考慮する。

 

T2強調像/脂肪抑制T2強調像

本症例では30%程度脂肪組織。

 

 take home message

・spindle cell lipomaの画像所見は脂肪肉腫とオーバーラップする。
・境界明瞭なcomplex fatty massを、中年男性の後頸部皮下に認めた場合はspindle cell lipomaを疑う。

 

 



参考文献

  • Bancroft LW, Kransdorf MJ, Peterson JJ, et al. Imaging characteristics of spindle cell lipoma. AJR Am J Roentgenol. 2003;181:1251-1254
  • Akshay D. Baheti Sree Harsha Tirumani Michael H. Rosenthal Stephanie A. Howard Atul B. Shinagare Nikhil H. Ramaiya Jyothi P. Jagannathan Myxoid Soft-Tissue Neoplasms: Comprehensive Update of the Taxonomy and MRI Features. AJR 2015; 204:374–385
  • Mark J. Kransdorf, Mark D. Murphey. Imaging of Soft Tissue Tumors. Lippincott Williams & Wilkins. 2014;138-140
  • 長田周治ら. 画像診断 Vol.34 No.3. 学研メディカル秀潤社. 2014;349-354
  • 米永健徳. 画像診断 Vol.36 No.11 増刊号. 学研メディカル秀潤社. 2016;120-121

 

 

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Moderator: 根本 貴文