孤立性線維性腫瘍 solitary fibrous tumor |
画像所見 |
▼ CT angio VR画像 |
緑色の塊が病変です。
異常に拡張した下腸間膜動脈を由来とする寄生血管が腫瘍内に入りこんでいます。 |
CT:Dynamic 1相目 | |
病変によって、下腸間膜動脈を背側、結腸そのものは腹腔内の辺縁部に追いやられています。
所見からは、S状結腸間膜内に存在すると考えられます。 単純CT上、腫瘍内に石灰化を伴っています。 |
MR所見 まとめ
・T2WI中等度信号、T1WI低信号、DWI高信号、早期より造影効果を示し遷延する充実部分
・T1WI低信号、T2WI高信号を示す嚢胞変性
・一部にFsT1WI高信号、T2WI低信号を示し、造影効果の不明確な出血壊死を疑う部分
CT所見 まとめ
・ 下腸間膜動脈から栄養されS状結腸間膜内に存在
・ 充実部分は早期より造影効果を示し遷延
・ 嚢胞変性、出血、石灰化を伴う
・ 周囲組織への浸潤は明らかではない
鑑別診断
|
・GIST
・SFT
・sarcoma (leiomyosarcoma,liposarcoma)
・neurogenic tumor
病理 |
病理結果:胸膜外孤立性線維性腫瘍(extrapleural solitary fibrous tumor)
【肉眼的所見 】 |
|
肉眼的には充実部分、壊死部分、嚢胞様構造の混在を認めました。
壊死部分(左上の標本)に一致して、線維化、石灰化部分の存在を認めました。 右上の標本内に、一部空洞形成を来した部位を認めますが、こちらはMR画像で想定された、嚢胞変性、myxoid変性の部位に相当しています。 |
|
【組織学的所見】
・ 円形、紡錘形の細胞
・ 特定の配列を持たずに密に増生
【免疫染色】
・ CD34:強陽性
・ CD99(MIC-2),bcl-2:一部で陽性 →これらはSFTを支持する所見
・ CD117(kit),DOG-1,αSMA,S-100,:陰性 →GIST、筋原性腫瘍、神経原性腫瘍は否定的
孤立性線維性腫瘍 |
【SFT 特徴 疫学】
・ 線維芽細胞様細胞からなり、 血管周皮腫様の分枝状血管が目立つ腫瘍
・ 全身に起こりうる
・ 中年成人を中心に発生
(文献1,2)
【SFT 画像所見】
CT
・ 境界明瞭
・ 周囲構造に圧排性変化をきたしうる
・ hypervascular
・ 石灰化(9%)
MR
・T1強調像:不均一な中等度信号
・T2強調像:不均一な中等度〜高信号
(文献2-9)
【SFT 病理】
・ 円形から紡錘形の細胞 “Spindle cell tumor”
・ 特定の配列傾向を持たずに増殖 いわゆる”パターンレスパターン”
・ 免疫組織学的検査
陽性:CD34,CD99,bcl-2,STAT6
陰性:CD117(kit)
(文献2,10-12)
【SFT 悪性を疑う所見】
・ 最大径10cm以上
・ 浸潤、壊死を伴う
・ 高倍視野、10視野中で4個以上の核分裂像
・ 高細胞密度
・ 多型核
(文献2,10-12)
Take home message |
・栄養血管から由来臓器を類推する
・腸間膜由来・単発・充実性腫瘍の鑑別診断として、GIST、SFT、肉腫、神経原性腫瘍が挙げられる。
これらを画像で鑑別することは難しい
参考文献
|