α1-アンチトリプシン欠乏症 α1-antitrypsin deficiency |
画像所見まとめ |
・両肺にびまん性にみられる気腫性変化
・両側末梢までおよぶ気管支拡張
・ポイント1:気腫のパターン
-汎小葉性気腫
-小葉(細葉)中心性気腫が癒合している,という雰囲気ではない
・ポイント2:若年性気腫、進行性
鑑別診断 |
・α-1アンチトリプシン欠乏症
・通常の肺気腫
-画像パターンと臨床が非典型
・気管支拡張症
-+エアトラッピングによる低吸収域、は鑑別になるかもしれないがカンファレンス向きの症例ではない
・ランゲルハンス細胞組織球症
・リンパ脈管筋腫症などの嚢胞性肺疾患
-嚢胞と低吸収域(LAA)の違い
-嚢胞:壁とみなされる所見
-本例で嚢胞様にみえる病変は拡張した気管支
診断の経緯
・前医でα-1アンチトリプシン欠乏症が疑われ,採血で血清α-1アンチトリプシン 10mg/dl(<50mg/dlで重症とされる)
注意:血清AATは肝疾患やネフローゼでも低下するのでその除外が必要
・治療目的で当院紹介となった
α-1アンチトリプシン(AAT)欠乏症 |
・AAT遺伝子の変異による常染色体劣性遺伝性疾患
・欧米と比較して本邦では極めて稀
・AATの欠乏により若年性に肺気腫を生じCOPDを発症する
・画像所見:汎小葉性肺気腫が有名だが小葉(細葉)中心性気腫や気管支拡張を主体とする場合もある
・肝障害などの合併がある
【AATの治療 (AAT補充療法)】
・AAT欠乏症に対してAATの補充することで進行性の破壊から肺を防御することができると期待されている
・本邦では未承認(治験中)
・近年ではCT画像上の気腫病変の進行抑制効果や死亡率低下が報告されている
→画像からも同疾患が疑われれば適切な治療に結び付けることが今後重要と考えられる
画像診断医がホームランを打てるかもしれない疾患です
参考文献
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