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第 376 回 東京レントゲンカンファレンス[2017年5月25日]
症例1 60歳代 女性 : 意識障害
孤立性線維性腫瘍(腸間膜発生)
solitary fibrous tumor of the mesentery


孤立性線維腫瘍 Solitary Fibrous Tumor(SFT)

・間葉系細胞由来の低悪性度腫瘍(良性80%, 悪性20%)
・好発年齢40-70歳、性差なし
・胸膜が最も多い(60-70%)が、腹膜, 縦隔, 髄膜, 鼻, 口腔, 肝, 軟部組織などの報告あり
・画像所見
 —表面平滑な腫瘤、時に 分葉状/有茎性
 —7%に石灰化
 —内部に不均一な造影効果 (線維化を反映)
 —変性・壊死・出血などが多い

 

SFT → 低血糖
・SFTでは、稀にインスリン様成長因子-II(IGF-II)を分泌する傍腫瘍症候群を合併することがある(4-5%)
・通常(7.5kDa)より高分子(10-17kDa)のIGF-IIを産生するため、採血で血漿IGF-II高値を呈さないことがある(ウェスタンブロッティングで診断)

・膵外腫瘍による低血糖(non-islet cell tumor hypoglycemia: NICTH)の一種で、他の間葉系腫瘍、上皮性腫瘍でも起こることがある

 

 Take Home Message

・胸部/腹部の腫瘤性病変に低血糖を合併していた場合、IGF-II産生腫瘍を考慮する
・血漿IGF-IIが正常値のこともある!

 

 


参考文献

  • 高橋深雪、他:高分子insulin-like growth factor-II 産生が確認された臓側胸膜由来の孤立性線維性腫瘍の1 切除例. 日呼吸誌 2014;3:680-684
  • Bram Balduyck, et al.: Solitary fibrous tumor of the pleura with associated hypoglycemia: Doege-Potter Syndrome. Journal of Thoracic Oncology 2006;1: 588-590