(卵巣)漿粘液性境界悪性腫瘍 seromucinous borderline tumor of the ovary |
画像所見 |
T2WI |
・嚢胞:高信号 ・壁在結節:辺縁高信号、中心部低信号 |
T1WI(in phase)/T1WI(out of phase) |
・嚢胞:高信号 → 脂肪抑制されず出血性変化 ・壁在結節:低信号 |
Dynamic study pre/60sec/subtra (60sec-pre) |
・嚢胞:造影効果なし ・壁在結節:造影効果あり |
DWI (b=1000)
/ADC |
・嚢胞:DWI低信号、ADC低下なし
・壁在結節:DWI軽度高信号、ADC低下なし(T2 shine through) |
画像所見まとめ |
・T1WI高信号の嚢胞→内膜症性嚢胞 ・壁在結節はT2WIで辺縁高信号・中心部低信号、造影効果あり |
内膜症性嚢胞に合併したSeromucinous borderline tumor(SMBT)(漿粘液性境界悪性腫瘍)
Seromucinous borderline tumor
病理と臨床 2015 Vol. 33 No.9 より改変
Seromucinous borderline tumor(SMBT)(漿粘液性境界悪性腫瘍) |
・2014年のWHO分類から設けられた新たな概念
・従来の粘液性境界悪性腫瘍の内頚部型(MMBT)と混合上皮性境界悪性腫瘍 (MEBT) が統合されたもの
・内膜症性嚢胞の合併が多い(30〜53%)
・比較的若年発症(平均30代)
・両側性も多い(22〜40%)
Fischerova, et al. Oncologist 2012; 17: 1515-1533
Matsubayashi RN, et al. J Comput Assist Tomogr 2015; 39: 276–280
SMBTの画像所見
・内膜症性嚢胞内の壁在結節(乳頭状)
・辺縁はT2WIで強い高信号(間質の浮腫s/o)
・中心部の樹枝状間質はT2WI低信号(線維化s/o)
・ADC低下は目立たない
※境界悪性漿液性腫瘍と類似するが、SMBTでは内膜症性嚢胞のT2WI shadingにより、壁在結節辺縁のT2WI高信号が認識しやすい
・内膜症性嚢胞(shadingあり)内の大きな結節
・T2WI高信号、軽度の造影効果
・病理で浮腫性の結節、内頚部型の粘液細胞
Matsubayashi RN, et al. J Comput Assist Tomogr 2015; 39: 276–280
内膜症性嚢胞の壁在結節の鑑別
・凝血塊:T1WI高信号、T2WI低信号、造影効果なし、DWIは高信号のこともある
・脱落膜化:妊娠に伴う、広基性、T2WIで胎盤と同程度の高信号、DWI高信号(T2 shine through)、造影効果あり →産後に消失
・癌合併:類内膜癌・明細胞癌が多い、造影効果あり、DWI高信号、ADC低下
Take home message
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・SMBTは、2014年のWHO分類から設けられた新たな概念
・従来のMMBTとMEBTを統合
・内膜症性嚢胞内のT2WI高信号の壁在結節
・悪性疾患との鑑別にはADC低下の有無が有用か
参考文献
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