孤立性線維性腫瘍(胸腔内発生。おそらく横隔膜の壁側胸膜由来) solitary fibrous tumor of the pleural cavity |
Solitary fibrous tumor(SFT) |
・中年以降(40〜60歳代)に好発。男女差なし。
・全身どこにも発生。胸部では胸膜(臓側>壁側)、縦隔、肺に発生。時に有茎性。
・傍腫瘍症候群を来すことあり;低血糖(insulin-like growth factor 2による)、 hypertrophic osteoarthropathy
・病理:spindle cell tumorからなる間葉系腫瘍. hemangiopericytomaと同一の組織("hemangiopericytoma"という病名は全身的にほとんど使われなくなりつつある)。”pattern-less pattern”を示すspindle cellの増殖像。 膠原線維増生や粘液変性/嚢胞変性高頻度。免疫染色; CD34陽性、S-100陰性(神経鞘腫との鑑別)。STAT 6は感度、特異度ともに優れる。
Solitary fibrous tumorの画像所見 |
・細胞成分、線維組織成分、粘液/嚢胞変性 成分を反映した像を示す。
・細胞成分; T2強調像高信号、dynamic study早期濃染。MRIでflow void。
・線維組織成分;T2強調像低信号、dynamic study遷延性造影。
・粘液/嚢胞変性;T2強調像での強い高信号域。
・陰陽模様(yin-yang pattern);線維成分と細胞成分の領域によるT2強調像低信号と高信号の領域の混在像。
・chocolate chip cookies appearance; 粘液/嚢胞変性による造影T1強調像でのchocolate chip様の低信号域散在像。
本症例の鑑別診断 |
・神経鞘腫/malignant peripheral nerve sheath tumor(MPNST)
・滑膜肉腫
・その他の間葉系腫瘍
・慢性膨張性血腫
・慢性膿胸に関連した腫瘍
Take home messages |
・SFTは病理学的に細胞成分、線維組織成分、粘液/嚢胞変性からなり、それぞれ特徴的な画像所見を示す。
・T2強調像での低信号域、多血性を示唆する所見、嚢胞変性/粘液変性を示唆する所見の混在する胸腔腫瘤は、本疾患に特徴的な、比較的陽性的中率の高い所見であり、画像から本疾患を鑑別の上位に挙げることは可能である。
・hemangiopericytomaという病名は一部の特殊な腫瘍を除いて用いない(最初の参考文献参照)
参考文献