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第 380 回 東京レントゲンカンファレンス[2017年12月7日]
症例7 20歳代 女性 : 腹痛
悪性末梢神経鞘腫瘍
malignant peripheral nerve sheath tumor


 鑑別診断

MPNSTを含む神経原性腫瘍
・滑膜肉腫など粘液(変性)を含む肉腫
・ユーイング肉腫(アスキン腫瘍)
・SFT
・転移性腫瘍

 

 MPNST 1-3)

・末梢神経に生じる悪性神経鞘腫瘍
・50%が NF-1 由来(多発神経線維腫)、10%が放射線照射後に生じ、残りの40%が弧発性
・20〜50歳台に生じ、診断時の平均年齢は35歳
・組織:核異型や高度核分裂像を伴う紡錘形細胞、多形細胞
・隣接する臓器、骨に浸潤
・局所再発が多く、予後不良

画像所見 2,4)
・境界: 明瞭 or 不明瞭
・紡錘型の形態, 5cmを超えることが多い
・内部: 単純,造影とも不均一(内部壊死)
・遠隔転移: 肺 >> 肝,副腎など
・PET は NF-1 患者における検出に有用

 ⇒特徴的な所見に乏しいが,由来神経が推定できれば診断の一助となる

今回の症例
・左第10肋間からの発生を推定(肋間拡大など)
・胸腔内に突出するふたこぶ状の形態(>紡錘形)
・壊死や拡散制限,FDG 高度集積などの悪性を疑う所見
・NF-1 を疑う症候や家族歴はなし

 肋間神経発生の悪性腫瘍 ⇒ MPNST


 Take Home Message

胸壁腫瘤の局在診断に単純X線も有用

 

 


参考文献

  1. Fletcher CDM, et al. WHO classification of tumours of soft tissue and bone. 4th ed. IARC, 2013; 11.
  2. Angela D. Levy, et al. Radiographics. 2017; 37(3):797-812.
  3. Chin-Chieh Hsu, et al. J Thorac Dis. 2013; 5(3): E78-82.
  4. Bredella MA, et al. AJR, 2007; 189: 928-935.