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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第381回症例症例:呈示
第 381 回 東京レントゲンカンファレンス[2018年1月25日]
症例2 70歳代 男性
悪性黒色腫腋窩リンパ節転移
metastatic melanoma of unknown primary

 

 画像所見

【MRI】
・左腋窩に腫大したリンパ節の集簇を認め、周囲にも複数のリンパ節の顕在化を伴う
・これらのリンパ節周囲の脂肪織に索状構造を認め、extra-capsular invasionを疑う
・腫大リンパ節には液状変性や出血等の多様な信号変化の混在
・T1WI高信号に描出される充実構造を認め、同部は造影増強される

【PET/CT】
・左腋窩腫瘤に一致したFDG高度集積(SUVmax 6.87)
・その他の領域に悪性病変を疑う集積を認めない

 


 鑑別

限局性の腋窩リンパ節腫大
  感染症ー猫ひっかき病、結核、ウイルス性疾患
  悪性リンパ腫
  男性乳癌、皮膚癌、肺癌等の悪性腫瘍の転移
  アミロイドーシス
  関節リウマチ

T1WI高信号(充実成分)
     悪性黒色腫(軟部原発、転移)

 

 

 病理結果

・大型異型細胞が壊死を伴いつつ、シート状に増生
・大型で明瞭な核小体を有し、細胞質内及び細胞外にメラニンと思われる黒褐色調色素を認める
・表皮内には病変なし

矢印
悪性黒色腫 or 原発性明細胞肉腫
t(12;22)(q13;q12)の遺伝子転座なし

悪性黒色腫のリンパ節転移との診断
     原発巣は?

 

 臨床診断

・病歴聴取から左拇指爪床に黒色斑があったがその後、第一関節から遠位が白斑になったとのepisodeが判明
・原発がSutton’s phenomenon*を起こしていると考えられた

転移性悪性黒色腫との臨床診断

 *Sutton’s Phenomenon:異常メラノサイトに対し免疫反応が生じ、悪性黒色腫が退縮する現象

Roxana I. N. Rom J Morphol Embryol 2015, 56(2 Suppl):659–663
Elizabeth K. H. Dermatology Online Journal 9(4): 2

 

 臨床診断原発不明の悪性黒色腫リンパ節転移
(Metastatic melanoma of unknown primary site; MUP)

 定義 1) 臨床学的、組織学的、免疫組織学的に転移性悪性黒色腫
2) 皮膚病変がない
3) 粘膜病変がない
 疫学 悪性黒色腫の2-9%
 病態 最も有力な説としてSutton’s  Phenomenonと同様、免疫反応による原発巣の消退が考えられる
* Pfeil A. F.  Melanoma Reserch 2011; 21:228-234. 

・AJCC第7版(2009)では分類が無かったが、AJCC第8版(2016)よりT0が追加された
   T0; No evidence of primary tumor (unknown primary/completely regressed melanoma)
  MUPは予後良好因子で生存期間が優位に長いとの報告がある

Extra-nodal extension (被膜外浸潤)は 形式化されていないが、今後N分類に有用な因子となる可能性が示唆されている

* Jeffrey E. G.  A Cancer Journal for Clinicians 2017;67:472-492
   Pfeil A. F.  Melanoma Reserch 2011; 21:228-234

 


参考文献

  • Jeffrey E. G. A Cancer Journal for Clinicians 2017;67:472-492
  • Pfeil A. F. Melanoma Reserch 2011; 21:228-234
  • Roxana I. N. Rom J Morphol Embryol 2015, 56(2 Suppl):659−663
  • Elizabeth K. H. Dermatology Online Journal 9(4): 20
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Moderator: 田中 泉