骨髄脂肪腫 myelolipoma |
画像所見のまとめ |
・腹部超音波検査上、大動脈左側に腎と離れて約7cm大の高エコー腫瘤を認めた。後腹膜由来と考えられた。
・CT上、腫瘤は辺縁整、脂肪成分主体で、造影増強効果を伴っていた。明らかな浸潤所見は認めない。
・MRI上、脂肪成分主体に、漸増性の造影増強効果を示し、DWI高信号を示す充実成分を伴っている。
部位による鑑別疾患 |
・脂肪腫 ・骨髄脂肪腫 ・血管筋脂肪腫 ・線維脂肪腫 ・線維腫 ・奇形腫 ・線維性組織球腫 ・血管平滑筋腫 ・神経原性腫瘍 ・血管腫 ・横紋筋腫 ・(髄外造血) |
・脂肪肉腫 ・悪性線維性組織球腫 ・粘液線維肉腫 ・低悪性線維粘液性肉腫 ・平滑筋肉腫 ・血管肉腫 ・横紋筋肉腫 ・悪性末梢神経腫瘍 ・悪性リンパ腫 |
骨髄脂肪腫 |
・1905年にGierkeが報告した成熟した脂肪組織と骨髄類似の造血組織(3系統の造血細胞)で構成される稀な良性髄外腫瘍である。
・多くは副腎由来であるが後腹膜、仙骨前面、縦隔、肝、脾、肺、下顎骨など多様な発生報告がある。
・40歳以上に多く、無症候性のことが一般的であり、他の疾患に付随して発見されることが多い。
医学検査 2010;59:1241-1246・CTやMRIでは内部の脂肪組織を反映した所見
(CT:低吸収,MRI:T1,T2強調像で高信号,chemical shift imagingのopposed phase:信号低下)を呈する。
臨床画像 2013;29:1112-1125・腫瘍内石灰化は20%に見られ、以前の出血によると考えられている。
臨床画像 2012;28:576-586・骨髄脂肪腫では周囲との境界は明瞭であるが、脂肪肉腫では内部が不均一で不整な辺縁を呈し、周囲組織への浸潤がみられる。
西日本泌尿器科 2006;68:596-598
結語 |
・偶発的に後腹膜腔に発生した骨髄脂肪腫の一例を経験した。
・後腹膜腔脂肪性腫瘤の鑑別に、頻度は低いものの骨髄脂肪腫も挙げられる。
参考文献