橋外髄鞘崩壊症、 腎性尿崩症に併う
高ナトリウム血症 exrapontine myelinolysis, hypernatremia caused by renal diabetes insipidus |
病変の分布 |
内包 外包 淡蒼球 視床 脳梁 海馬 中小脳脚 小脳 大脳脚 橋線維
→広範な白質線維脱落が疑われる。
何らかの代謝異常を念頭に置く。(淡蒼球もあり、当時はCO中毒や低酸素脳症も疑った)
ヒントの Body CT |
入院時の Na 200mmol/L と非常に高値を示した。
3 ヶ月後、真菌感染症により永眠。
剖検が施行された。
浸透圧性脱髄症:Pontine and extrapontine myelinolysis
浸透圧性脱髄症 Osmotic myelinolysis |
アルコールや低栄養・糖尿病・肝硬変・神経性食欲不振・電解質異常・ナトリウム急速補正で生じる
・50%は橋中心性融解症 橋外半数
・皮質下白質・被殻・尾状核・視床・中脳
・内包・外包・脳梁>海馬・皮質>外側膝状体
・橋中心などの対称T1LowT2High 病変を示す。
・橋錐体路や縦走線維は比較的保たれる。
・三角形状や蝙蝠状と称される形状。
・視床では外側に多い
・皮質では層状壊死も
・急性はADC低下あり、辺縁が増強される。
・両側中小脳脚病変を示す疾患の1つ。
・皮質下白質の先端部が侵され、小嚢胞状になる。
腎辺縁に小嚢胞が多発している。
双極性障害の既往からは、リチウムによる腎障害が想起される。 |
炭酸リチウム→腎性尿崩症→高 Na 血症→浸透圧性脱髄症 という流れ
リチウム腎症 Lithium nephropathy
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・躁病の治療薬、慢性にリチウムを使用。
・腎性尿崩症を発症する。
・腎内に1-2mmの無数の嚢胞ができる。
・大きさは均一。両側対称。
・橋外髄鞘崩壊症は意外に多くの部位に異常を示す。
・基底核や中小脳脚の他にも海馬、小脳もある。
・精神科疾患が背景にある患者は電解質異常が頻出!(これ以外にも水中毒がある)
・高 Na 血症では外包病変が多い?(Wilson 病の分布に似ていなくもない)
・特に躁鬱病ではリチウムの副作用に注意が必要である。
参考文献
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