子宮腺腫様腫 adenomatoid tumor of the uterus |
画像所見 |
MRI:T2WI | |
右卵巣は病変部と別に同定でき、卵巣腫瘍ではないことがわかる。 | |
拡散強調像(b=1000) |
画像所見のまとめ
・子宮由来の漿膜下の多房性のう胞と充実部から成る腫瘤。
・嚢胞部分はCTでは低吸収, MRI上はT1強調像では低信号,T2強調像では強い高信号。
・充実部はCTでは筋層より低吸収,MRI上はT1強調像,T2強調像ともに筋層より軽度低信号。
・充実部,嚢胞部分ともに拡散低下は認めない。
・造影後はCTでは筋層と同程度に,MRIでは筋層より淡く造影されている。
鑑別診断 |
・Adenomatoid tumor
・Multilocular cystic leiomyoma (cystic degeneration of leiomyoma) /cystic leiomyosarcoma
・Adenomyotic cyst
adenomyotic cystは通常T1強調像で高信号で単房性。
また、積極的にleiomyosarcomaを疑うような拡散低下は認めない。
leiomyomaの多房性の嚢胞変性は極めて稀。
嚢胞部分を伴うadenomatoid tumorが最も合致する。
しかし、leiomyomaもその疾患頻度を考慮すると除外は困難(有病率が高いと稀な所見でも陽性的中率は高くなるため)。
病理 |
腹式単純子宮全摘手術が施行された
腫瘍の充実部には小嚢胞状の管腔が散在し、周囲には平滑筋増生を認めた。 |
嚢胞部分では大きな嚢胞状管腔が集簇。 嚢胞壁は中皮細胞を示唆する立方状から扁平な細胞で裏打ちされていた。 |
最終診断 :Adenomatoid tumor of the uterus
Adenomatoid tumor 腺腫様腫瘍 |
・中皮細胞が腺腔様構造を形成する腫瘍。
・生殖器(精巣上体、子宮など)発生が多いが、稀に副腎、腸間膜、胸膜にも発生。
子宮のadenomatoid tumor
・女性の1.2%に存在。
・adenomatoid tumorはホルモン療法の効果が不明であり、筋腫とは区別して診断した方が良いとされている。
また、本例のような漿膜下嚢胞性病変では卵巣腫瘍と誤診しないことが重要。
・症状:腹部腫瘤、不正性器出血、腹痛、または無症状。
・small and solid とlarge and cysticの2種類の病理形態。
・免疫低下と関連*
Int J Gynecol Pathol. 2002;21:34-40.
J Comput Assist Tomogr. 2015 ;39:499-505.
*Histopathology. 2018. doi: 10.1111/his.13726.
子宮のadenomatoid tumorのMRI所見(n=26)*
・漿膜下(2/26),筋層内(23/26), 粘膜下(1/26)。
・充実性(24/26), 嚢胞性(2/26)。 1〜7cm.
・境界明瞭(23/26), 境界不明瞭(3/26).
・充実性は筋層と比べT1強調像で等信号,T2強調像低信号。中等度の造影効果。
*J Comput Assist Tomogr. 2015 ;39:499-505.
参考文献
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