Arrested pneumatization of the skull base
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経過 |
初診の約1ヶ月後、内視鏡下手術を施行。蝶形骨の一部に隆起を認め、内頸動脈と
接する一部を除いて切除した。
病変には脂肪髄を思わせる柔らかい部分と骨が混じり合ったような所見を認め、
悪性細胞や真菌塊を疑う所見は
認めなかった。
病理検査所見 |
Bone marrow tissue, No malignancy
骨片とともに正常骨髄細胞が見られ、
腫瘍性病変、真菌感染を示唆する所見は
認めない。
【診断】Arrested Pneumatization of the skull base
Arrested Pneumatization of the skull base |
発達過程において、頭蓋底の含気腔形成が何らかの理由により満足に行われないために生じる正常変異の一種。
一般に、脂肪成分を含み、圧排性や周囲浸潤が見られない。1)-4)
画像 |
▼ T1WI / T2WI | ▼ 単純CT | |
▲ 造影T1WI / 脂肪抑制造影T1WI |
鑑別疾患 |
・線維性異形成(fibrous dysplasia)
典型例は脂肪を含まず、周囲の圧排および浸潤を認めることが多い。1)-4)
・脊索腫(Chordoma)
・軟骨肉腫(Chondrosarcoma)高頻度に周囲の圧排や破壊を認める。
脊索腫は中心に脂肪領域を認めず脊索肉腫は脂肪を認めることもあるが一般的ではない。2)-4)
・頭蓋底部転移性骨腫瘍(Bone metastasis)
周囲組織の圧排や破壊を伴い、脂肪領域を含まない。1)-4)
・その他
骨形成性線維腫、骨髄炎など
Take Home Message |
蝶形骨など頭蓋底部に、圧排性がなく、内部には脂肪や曲線状の石灰化を伴う病変を認めた際には、Arrested pneumatizationも鑑別に挙げ、慎重に検討しましょう。
参考文献
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