第 387 回 東京レントゲンカンファレンス[2018年10月25日]
Down 症に合併したAlzheimer 型認知症、右中大脳動脈狭窄 Alzheimer-type dementia and right middle cerebral artery stenosis with Down syndrome |
Down症はAD病理を高率に合併する |
・Down症(21 trisomy)では40歳以降、急激に認知機能低下が進行する(40代で55%、70代の100%に認知症が生じる)。
・認知機能低下をきたしたDown症患者の脳には
ADに特徴的な老人斑(主成分: Aβ)や神経原線維変化(主成分: リン酸化タウ)が認められる。
・発症経過もADに類似する。
ただし、ADと比較すると薬物治療の効果が低い。
・Aβの前駆体であるAPP遺伝子は21番染色体上に存在する。
・その他、APPの転写因子や翻訳後修飾などに関与する遺伝子が21番染色体上に複数存在。
・Down症ではこれらの過剰発現、機能異常によってAβが過剰に産生され、AD病理が形成。
・MRIや脳血流SPECTの所見もADに類似するとの報告が多い。
海馬のvolume減少
帯状回後部、楔前部、前頭葉における血流低下
APP: amyloid β precursor protein
Patterson C. CMAJ. 2008 Feb 26;178(5):548-56.
Rachidi M. Eur J Paediatr Neurol. 2008 May;12(3):168-82.
Ballard C. Lancet Neurol. 2016 May;15(6):622-36.
Vee P Prasher (2006). Down Syndrome and Alzheimer's Disease Biological Correlates. CRC Press. pp.159-160.
Take Home Message |
Down症は40歳を過ぎると多くが認知機能低下をきたし、AD病理を高率に合併する。
参考文献