第 387 回 東京レントゲンカンファレンス[2018年10月25日]
びまん性正中グリオーマ diffuse midline glioma |
鑑別診断 |
・脳幹が膨隆し、右中小脳脚へ進展する病変
↓
変性・炎症疾患(神経Behçet‘s病等)
腫瘍>感染症
脳血管障害
・腫瘍の鑑別
◯ Diffuse astrocytoma(WHO grade II)
◯ Anaplastic astrocytoma(WHO grade III)
→「びまん性橋膠腫(diffuse intrinsic pontine glioma ; DIPG)」
× Lymphomaー本例はDWI高信号や造影効果が弱い
Diffuse midline glioma, H3 K27M-mutant |
・WHO分類2016で新たに加わった(WHO grade IV)1)
・脳幹、視床といった正中線に発生し、ヒストンH3遺伝子H3F3AまたはHIST1H3B遺伝子のK27M変異があるglioma
・びまん性橋膠腫(diffuse intrinsic pontine glioma; DIPG)を含む
・病理所見は様々でHEでは診断できない。組織学的にgradeが低くても、H3 K27M変異が同定されればgrade IVとなる。
・好発年齢:小児(2-19歳、平均9歳)、若年成人(17-46歳、平均38歳)に発生2,3)
・治療:放射線療法(手術は困難)
・予後:不良
典型的画像所見2)
・正中線上(脳幹、視床、視床下部、小脳、脊髄)に発生する。橋発生は小児に多く、視床発生は若年成人に多い。
・脳幹を膨隆させる境界不明瞭な腫瘤。
・外方性発育により第4脳室や基底槽に進展することも。
・軽度造影〜ほぼ造影されない。
・拡散制限なし〜軽度。
*ただし、H3 K27M変異の有無で画像の違いは報告されていない
Take Home Message |
・2016年WHO分類では、脳幹・視床などの正中線上に発生し、H3 K27M変異をもつDiffuse midline gliomaが新たに加わった
・小児や若年者で正中線上に腫瘍を認めた場合、造影効果が弱くても、WHO grade IVに分類される予後不良なDiffuse midline gliomaの可能性があることに留意する。
参考文献