casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第387回症例 ≫ 症例:診断

第 387 回 東京レントゲンカンファレンス[2018年10月25日]

症例4 60歳代 女性:子宮頸癌検診の際、骨盤腫瘤を指摘された
孤立性線維性腫瘍
solitary fibrous tumor


 孤立性線維性腫瘍:solitary fibrous tumor

・線維芽細胞様細胞からなる間葉系腫瘍
・胸膜原発SFT: 30%、 髄膜原発SFT:20%, その他・・・下肢、後腹膜、眼窩
・胸膜外SFT:中年(20-70yrs;peak in 50-60s)、男女比1:1
・良性が多く、悪性は11-22%
・良悪性にかかわらず、局所再発が多い。
・線維成分、細胞が豊富な部位、血管が豊富な部位が混在(patternless)。
・悪性SFTでは不明瞭な辺縁、周囲組織への浸潤、壊死を認めることがある。
・STAT6が感度・特異度が最も高い。
  → NAB2-STAT6 fusion geneの発現が疾患特異的。
  → 術前の鑑別診断としてSFTをあげることが病理診断に寄与する。
・SFTでは様々な増殖因子の過剰発現を認める。
  → IGF2を過剰産生した場合、低血糖を生じうる (Doege-Potter syndrome)。
  → 切除不能例・転移例の分子標的薬治療が現在探索中である。
・内部に石灰化・脂肪を含むことはまれ(含むこともある)。
・内部の出血、壊死は良性の場合はまれ。
・CT:
  動脈相:強い増強効果
  門脈相・遅延相:増強効果が遷延する
・MRI:
  T1WI:筋肉と比較して低〜等信号
  T2WI:線維組織 →低信号、細胞成分が多い部位→中等度〜高信号
  造影:不均一、血管が豊富な部位は早期濃染、washout、線維組織は遷延性造影

 

 結語

・Solitary fibrous tumorは稀な腫瘍であるが全身に生じうる。
Hypervascularで、T2WI低信号(=線維成分)DWI高信号(=細胞成分)を示す腫瘍では、鑑別としてあがる。
・T2WIで低信号域と高信号域とが混在した所見(陰陽パターン)が診断に有用な場合がある。

 

 


参考文献

  • Extrapleural solitary fibrous tumor: A distinct entity from pleural solitary fibrous tumor. An update on clinical, molecular and diagnostic features.Ann Diagn Pathol. 2018 Jun;34:142-150. doi: 10.1016/j.anndiagpath.2018.01.004. Epub 2018 Apr 9.Ronchi A1, Cozzolino I et.al.
  • MR imaging of common and uncommon large pelvic masses. Radiographics. 2003 Mar-Apr;23(2):403-24.Szklaruk J et.al.
  • Imaging findings of solitary fibrous tumor in the abdomen and pelvis. Abdom Imaging. 2014 Dec;39(6):1323-9. doi:10.1007/s00261-014-0155-4. Tian TT et.al.