第 390 回 東京レントゲンカンファレンス[2019年2月28日]
ホスホグリセリド結晶沈着症 phosphoglyceride crystal deposition disease |
画像所見のまとめ |
・左前胸壁、肋軟骨部の腫瘤形成
・左肩甲骨腫瘤、骨破壊像
・両側下位肋骨、右前胸壁肋軟骨部の小腫瘤
→ 骨性胸郭の多発骨外腫瘤・骨破壊
鑑別診断 |
骨外腫瘤が多発する疾患
・転移性骨腫瘍 ・・・ 原発巣不明
・多発性骨髄腫 ・・・ 検査値に異常なし
・悪性リンパ腫、その他リンパ増殖性疾患
・・・ 骨破壊の性状が合致するか?
ホスホグリセリド結晶沈着症(PGDD) |
・骨や軟部組織への後天的なリン脂質の結晶沈着
・何らかの脂質代謝障害の可能性
・きわめて稀、50歳以上の中高齢者が多い
・切除後の再発あり
・死亡例の報告なし、保存的治療も選択枝
・血液検査所見では異常なし
・組織学的には結晶による異物肉芽腫
沈着物周囲を組織球や異物型巨細胞が囲み、集族し腫瘤状を呈する
石田剛,他.非腫瘍性骨関節疾患の病理.第1版147-150,2003
PGDDの文献報告 |
・現在まで10数例程度の症例報告のみ(いずれも本邦から)
・発生部位は骨、筋肉、体壁や体腔内と様々
・外傷、注射や手術痕と関連するという説もあり
・緩徐に増大する軟部腫瘤
・時に多発、大きな腫瘤を形成→悪性と鑑別困難
結語 |
・極めて稀な、ホスホグリセリド結晶沈着症の1例を提示した。
・診断を特定できない多発骨外腫瘤を認めた場合、腫瘍以外に結晶沈着症の可能性も一応視野に入れ、組織確定を行う必要がある。
参考文献