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第 390 回 東京レントゲンカンファレンス[2019年2月28日]

症例8 40歳代 女性:肝腫瘍 自覚症状なし
肝紫斑病
hepatis peliosis


 sinusoidal obstruction syndrome(SOS)

・病理所見:類洞拡張、類洞への赤血球出現。
・肝類洞内皮細胞が障害を受け、2次的に肝中心静脈が閉塞を来すことで肝内に血液貯留腔が形成される。
・類洞と交通する血液貯留腔を伴った場合、その箇所はPeliosis と呼ぶ。
・腫瘍ではなく、あくまで血液循環障害。
・発症の原因として膠原病、悪性腫瘍、結核、同種造血細胞移植(1)
 またそれらに関わる薬剤(免疫抑制薬、ステロイド、抗癌剤特にオキサリプラチン)が考えられている。
(1)Shulman HM et al. Gastroenterology 1980;79:1178. ・症状は有痛性肝腫大、黄疸、非心原性浮腫など。
・類洞拡張
・類洞への赤血球出現
・類洞と交通する血液貯留腔
Rubbia-Brandt et al. Histopathology 2010; 28: 2549・超音波検査(カラードップラー)
Dietrich CF et al. Ultrasound Med Biol 2018; 44: 2171)・有効な治療法は確立されておらず、支持療法、抗凝固療法、線溶療法など。
・原因となる薬剤の中止や疾患の治療が可能で、症状が落ち着いていれば、経過観察も可。

 

 Peliosis Hepatis

・CT所見:低吸収、出血をきたすと高吸収。時に石灰化。
・動脈相でglobular enhancement。徐々に造影効果が広がり遅延相で均一な造影効果。
・EOB肝細胞相(VS結腸癌の肝転移):正常肝細胞の存在、結節の不明瞭さ
Han NY et al. Radiology 2014:271; 416

 

 Take Home Message

・直腸癌術後の化学療法が原因として考えうるpeliosisを伴うSOSの症例を経験した。
・薬剤使用例や背景疾患がある患者において新たに結節が見られた場合:SOS、peliosisの随伴を鑑別に挙げる必要があると考える。超音波所見、肝細胞相での結節の明瞭さは鑑別に一助になるかもしれない。

 

 


参考文献

  • Na Yeon Han, et al. Hepatic Parenchymal Heterogeneity on Contrast-enhanced CT Scans Following Oxaliplatin-based Chemotherapy: Natural History and Association with Clinical Evidence of Sinusoidal Obstruction Syndrome. Radiology 276: Number 3 ? September 2015