第 392 回 東京レントゲンカンファレンス[2019年5月23日]
症例7 70歳代 女性:糖尿病で通院中 |
異所性膵由来の膵管内乳頭粘液性癌 intraductal papillary mucinous carcinoma arising from ectopic pancreas |
Findings |
・十二指腸粘膜下の腫瘤性病変。
・拡張、蛇行した管状構造があり、十二指腸へ開口する。
・病変は粘膜面に向かって浸潤、膨隆する。
・その他の臓器と連続性なし。
・リンパ節や他臓器への転移なし。
Ectopic pancreas |
・本来の膵臓と解剖学的、血行学的に不連続な膵組織。 ・剖検での頻度は0.5-13.7%とされている。 ・上部消化管(胃、十二指腸、近位空腸)に好発する。 ・構成成分によって病理学的に分類される。(Heinrich分類) |
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I型 II型 III型 |
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ランゲルハンス島 + 腺房細胞 + 導管 腺房細胞 + 導管 導管 (+周囲の平滑筋増生) |
・正常膵と同様、膵炎や仮性嚢胞、腫瘍を生じることがある。 ・典型的には境界明瞭な粘膜下腫瘤として描出される。 ・腺房細胞が多ければ多血性、膵管が多ければ乏血性。 ・MRCPで膵管構造が描出できれば特異性が高い。 |
Intraductal papillary mucinous carcinoma(IPMC) |
・膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のうち悪性成分を伴うもの。
・病理学的には上皮内癌と浸潤癌に分けられる。
・膵管と連続する嚢胞内に充実成分を認めるのが典型的 。
IPMC arising from ectopic pancreas |
・異所性膵由来のIPMNとして症例報告はある。(12例ほど)
・画像所見の報告はない。
Take home message |
・生検結果が正しいとは限らない。
・好発部位の近くにもその疾患が生じうる。
・異所性組織由来の腫瘍についても思いを馳せる。
参考文献