神経核内封入体病 neuronal intranuclear hyaline inclusion disease |
画像所見 |
[T2WI/T2WI/FLAIR]
・年齢に比して全般的な脳委縮
・両側前頭葉、頭頂葉の皮質下〜深部白質にT2WI/FLAIR高信号
[DWI/ADC map]
・両側前頭葉優位皮質下にDWI高信号
皮膚生検を施行
汗腺細胞や脂肪細胞の核内にSUMO染色陽性の封入体
神経細胞核内封入体病(成人発症型)
Neuronal Intranuclear Inclusion Disease ; NIID
神経細胞核内封入体病 Neuronal Intranuclear Inclusion Disease |
・神経細胞、各種臓器の細胞内に好酸性核内封入体を認める進行性の神経変性疾患
・認知症、錐体外路症状、小脳性運動失調、末梢神経障害、自律神経症状等、非特異的で多彩な神経症状
・かつては多くが死後の病理組織により診断されていたが、近年、皮膚生検による診断が可能
・病型
家族性、孤発性
発症年齢は様々
NOTCH2NLCが関与
bioRxiv 515635
・成人発症型神経核内封入体疾患の特徴 | ||||
孤発性 | 家族性 | |||
発症時の主症状 | 認知症 | 認知症 | 筋力低下 | |
発症年齢 | 中年〜高齢 | 中年〜高齢 | 若年〜中年 | |
白質脳症 | +++ | +++ | + | Brain. 2016 Dec; 139(Pt 12): 3170- 3186. |
・病理所見
中枢、末梢神経の神経細胞内およびグリア細胞、シュワン細胞に好酸性核内封入体
全身臓器の細胞にも核内封入体
皮膚生検で診断可能
・核内封入体はSUMO、ユビキチン、p62等の免疫染色陽性
臨床神経学 56巻6号, 2016: 6
画像所見
・拡散強調画像で皮質下に特徴的な高信号
・病理所見では海綿状変化が大脳皮質直下の皮髄境界で目立ち、DWI高信号域と一致
・症状の進行に伴い、皮質下の拡散制限病変の拡大、T2WI/FLAIRのびまん性高信号域、白質萎縮の拡大
老年期認知症研究会誌 Voll.22 No.11 2018
Sone et al., JNNP. 2014:354-6.
Abe K, Fujita M. BMJ Case Rep 2017
経過 |
DWI高信号域の拡大 |
白質脳症、萎縮の進行 |
自験例 73歳女性 主訴:ふらつき、振戦
既往歴:白内障
家族歴:神経変性疾患や類症なし
身体所見
・四肢深部腱反射低下、右手指振戦、両下肢振動覚低下
神経学的所見
・MMSE 25/30、FAB(前頭葉機能検査)10/18
・多発性末梢神経障害
ー右正中、尺骨、後脛骨神経 運動神経伝導速度遅延
ー右腓腹神経 感覚神経伝導速度遅延
60歳代 | |
70歳代 |
結語 |
・徐々に進行する認知機能低下で発症した神経核内封入体病の一例を提示した。
・本疾患は非特異的な神経所見を呈するため、臨床所見のみでは診断が困難であるが、特徴的な画像所見が診断に有用である。
参考文献
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