(カテーテルアブレーション後の)左房食道瘻による空気塞栓 air embolism due to atrial-esophageal fistula (post-catheter ablation) |
来院時発熱があったために細菌感染を疑い、バイタルサインも安定していたが、経過観察目的に感染症内科入院。
day1に血液培養の結果streptococcus parasanguisの可能性があったため、ペニシリンGで治療開始。
感染性心内膜炎を疑い、脳病変精査のために、再度頭部MRI施行。
viridans streptococci: including S. militis, S. oralis, S. sanguinis, S. salivarius, S. anginosus.他Mycoplasma salivarium, Enterococcus and Candida albicans
画像所見
|
MRI:T2*強調画像 ・microbleeds様の所見を指摘。 ・頭部単純MRIでのT2*強調画像での低信号域が空気濃度であることを確認。 |
・day2に左共同偏視を伴う左側上下肢を中心とする痙攣発作。脳神経外科転科。
・感染性心内膜炎に伴う脳梗塞を疑ったが、
かなり稀な合併症であるが、カテーテルアブレーション後に心房食道瘻があると指摘された。
・血液培養にて複数の連鎖球菌が出ていることにより、左房食道瘻に矛盾しない。
・左房食道瘻では98%で造影CTにて所見(縦隔内炎症、free air、左房内変化、食道変化)を認める。
来院2日後:胸骨盤単純CT |
・左房食道瘻の診断をつける検査として
上部消化管内視鏡検査はさらなる空気塞栓を来す可能性があり検査できない。
・経食道エコーは1例で増悪した例があり、慎重に適応判断。
・左房食道瘻の治療は原則外科的治療のため、心臓血管外科コンサルト
・この病態に関しては、脳神経外科、循環器内科、感染症科の参加者全員の合意の後手術の方針となった。
心臓血管外科コンサルト後手術
・lt.u.PVとrt.u.PVの中間ややlt.uPVに近い(か?)部位に1cm程度の内膜欠損あり。
・左房内から瘻孔閉鎖のみを行った。
術後の食道透視:造影漏れはなし。 |
最終診断
(catheter ablation後の)左房食道瘻による空気塞栓
AEF(atrioesophageal fistula)の主な知見
|
・ RFA, cryoablation, HIFU, surgical ablationを含めて、種々のablationでAEFは起こりうる
・AEF後、2から4週間が最も起こりやすい(2ヶ月後も)
・発熱と神経学的所見が主な症候だが、消化管出血など種々な徴候がある
・胸部造影CTが診断の第1選択。内視鏡は悪化を招きうる
・致死率は高く、外科的介入が最良の治療選択
Take home message |
T2*強調画像で、境界明瞭なmicrobleeds様の所見を見た時は、このような稀な疾患(カテーテルアブレーション後の合併症としては0.11%)も鑑別に入れておきたい。
致死率も極めて高く、(全体としては55%、保存的には97%、内視鏡では、65%、外科的には33%)。
早期発見や早期介入が望まれる。
参考文献
|