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第 396 回 東京レントゲンカンファレンス[2019年11月28日]

症例4 60歳代 男性:労作時胸部症状
運動誘発性冠攣縮性狭心症
exercise induced coronary spastic angina

 

 運動誘発性冠攣縮性狭心症

・1979年にYasueらにより、カルシウム拮抗薬が運動負荷冠攣縮の抑制に有効であった症例を報告。
・器質的に有意な狭窄のない冠攣縮性狭心症の約40%に、労作による誘発を認める 。
・運動負荷で冠攣縮が誘発された場合のST変化は負荷終了直後から出現する場合が多いとの報告もある。
・内皮非依存性血管拡張作用を持つアデノシンによる負荷では一般に虚血は誘発されない。

 

 アセチルコリン負荷陰性となる原因について

・本例のようにアセチルコリン負荷陰性にも関わらず運動負荷で冠攣縮が誘発される例は珍しい。
・本例でアセチルコリン負荷陰性となった原因として、アセチルコリンを介する内皮依存性の血管拡張作用の障害は軽いが、
 アドレナリン、ノルアドレナリンによるα受容体刺激を介した血管収縮が支配的であった可能性がある。

 

 結語

病歴や運動負荷・薬物負荷の2つの心筋血流イメージングにより運動負荷誘発性冠攣縮と診断されるも、アセチルコリン負荷では冠攣縮が誘発されなかった興味深い症例を報告した。近年、薬物負荷シンチが運動負荷に比べて増加しているが、病歴を踏まえ、運動負荷シンチを選択することが重要である教訓的な症例と考えられた。

 


参考文献

  • Yasue H, Am J Cardiol. 1979 Mar;43(3):647-52.
  • Aoki M, Am Heart J. 1990 Mar;119(3 Pt 1):551-6.
  • 心臓 Vol.43 No.11(2011)
  • 日本臨牀 2007(別冊循環器症候群II):20-23