第 396 回 東京レントゲンカンファレンス[2019年11月28日]
症例6 70歳代 女性:発熱、下痢 |
成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化 malignant transformation in mature cystic teratoma |
卵巣癌と腸管の瘻孔形成 |
医中誌およびPubMedにて検索した限りで卵巣悪性腫瘍が消化管穿通を来した報告(英文もしくは和文、会議録除く)は16例のみであった。
加藤らによると、8/16症例(50%)が成熟嚢胞性奇形腫から生じた癌であったと報告されている1)。
病理所見 | 症例数 |
Squamous cell carcinoma arising in mature cystic teratoma | 7 |
Adenocarcinoma arising in mature cystic teratoma | 1 |
Serous cystadenocarcinoma | 2 |
Mucinous cyst ademocarcinoma | 2 |
Clear cell carcinoma | 2 |
Transitional cell carcinoma | 1 |
Endometrioid carcinoma | 1 |
成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化は全卵巣悪性腫瘍の1.5%2)であり、明らかに成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化は消化管への浸潤を来しやすいと言える。
扁平上皮癌が多い事が関連していると思われるが、明確な根拠は見つけられなかった。
Take home message |
卵巣腫瘍の消化管浸潤を見たら成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化の可能性を考える。
脂肪成分が経消化管的にドレナージされることがある。
参考文献