第 401 回 東京レントゲンカンファレンス[2023年5月25日]
症例4 70歳代 男性:前立腺癌術後。過去に指摘された多発肝腫瘤が増大傾向。 |
類上皮血管内皮腫 epithelioid hemangioendothelioma(EHE) |
類上皮血管内皮腫:epithelioid hemangioendothelioma(EHE) |
・血管内皮由来の非上皮性腫瘍
・低~中等度の悪性度だが、肝原発のものは他臓器より悪性度高い
・肝、肺、リンパ節、骨、脾など、複数の臓器に病変が見られることが多い (転移もしくは多中心性)
・大部分成人、やや女性多い
・主な症状は体重減少や上腹部痛
画像所見
「分布」
・肝辺縁部優位
「層状の構造」
・辺縁部がT1WIで高信号、T2WIで低信号
・門脈相、移行相で層状の濃染
・肝細胞相でリング状の濃染
「その他」
・病変の癒合
・病変周囲の早期濃染
・拡散低下に乏しい
・病変部の肝の陥凹
転移との鑑別 |
転移との鑑別は時に難しいことがある
⬇
・肝辺縁部優位に分布
・拡散低下が乏しく、肝細胞相のリング状濃染
・長い経過で変化に乏しい
などの所見が見られた場合、転移の他にEHEが考慮される
Take home message |
病理では診断がしばしば困難なことがあり、画像診断でEHEを鑑別診断にあげることは臨床的意義があると考えられる。
参考文献