耳下腺内顔面神経鞘腫 intraparotid facial nerve schwannoma |
画像所見 |
T2強調横断像/T1強調横断像/STIR 冠状断像 |
・左耳下腺内に、境界明瞭で縦長の楕円形腫瘤
・茎乳突孔直下に位置し、顔面神経の解剖学的領域に一致
・T1強調像で、骨格筋と同様の信号
・T2強調像で辺縁高信号・内部低信号で、同心円状にtarget signを呈する
病理所見 |
・細胞配列に粗密が混在 ・Antoni A 型:密 紡錘状細胞が束状に増殖 Verocay body(2列以上) ・Antoni B 型:粗 |
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解答
耳下腺内顔面神経鞘腫(intraparotid facial nerve schwannoma)
顔面神経鞘腫 |
・顔面神経鞘から発生する、良性で被包化された腫瘍である
Indian J Surg Oncol. 2019 Mar;10(1):101-106.・顔面神経のいずれの部位にも生じうるが、その多くが側頭骨内発生で、
耳下腺内発生は顔面神経鞘腫の9%で、耳下腺腫瘍全体の0.2-1.5%と頻度は低い
J Laryngol Otol. 2007 Aug;121(8):707-12・平均年齢は約45歳で、性差はない
Am J Otolaryngol. 2012 Sep-Oct;33(5):497-504・無痛性で緩徐に増大し、顔面神経障害を伴わないことが多い
Case Rep Otolaryngol. 2016;2016:3939685.・画像所見も非典型的で、 fine needle aspirationも有用性が低く、多形腺腫などの良性腫瘍との鑑別が容易でない
Contemp Clin Dent. 2021 Apr-Jun;12(2):191-194.
耳下腺内顔面神経鞘腫の画像所見の特徴 |
・左耳下腺内に、境界明瞭・縦長の楕円形腫瘤
・顔面神経の走行・茎乳突孔直下に位置する
・T1強調像で、骨格筋と同様の信号
・T2強調像で辺縁高信号・内部低信号で、同心円状にtarget signを呈する
・+α DESSで顔面神経との連続性が確認できる
3-dimensional double-echo steady-state with water excitation(3D-DESS-WE)
・もともと整形外科領域で、関節軟骨の評価に用いられていた
・耳下腺内顔面神経の評価
AJNR Am J Neuroradiol. 2011 Aug;32(7):1167-72
AJNR Am J Neuroradiol. 2019 Jun;40(6):1037-1042・術前の顔面神経や舌神経の評価
Imaging Sci Dent. 2022 Sep;52(3):259-266・下顎神経とその分枝の評価
AJNR Am J Neuroradiol. 2015 Jul;36(7):1333-7
▼ DESS横断像 顔面神経と病変との連続性が確認できる |
▼ DESS冠状断像 顔面神経と病変との連続性が確認できる |
結語 |
耳下腺内顔面神経鞘腫の診断に、3D-DESS-WEが有用であった一例を経験した。
参考文献
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