第 405 回 東京レントゲンカンファレンス[2023年12月21日]
症例4 70歳代 女性:腰椎椎間板ヘルニア手術後 |
L5 スクリューによる右総腸骨静脈破損 right common iliac vein injury caused by L5 spinal screw |
L5 スクリューによる右総腸骨静脈破損 |
・椎弓根スクリュー留置による大血管損傷の発生率は0.22%との報告がある。
Parker SL , et al. Spine .(2023)・整形外科手術全般で固定具抜去時に、何らかの血管損傷の発生率は0.1%程度とされるが、
スクリュー抜去時の大血管損傷についてまとめた報告はない。
Kellam PJ , et al. J Bone Joint Surg Am. (2021) ・留置/抜去の操作の違いから、抜去の際の方が大血管損傷の発生率は少ないと推測する。
抜去時に大血管を損傷した報告については1件の症例報告があった。
まとめ |
・法医解剖前CTでL5スクリューによる右総腸骨静脈損傷を推測し、
解剖時の迅速な血管損傷部の同定および死因の確定に寄与することができた。
・スクリューが骨皮質まで到達している場合、術前CTでは予見できないような椎体周囲の慢性炎症、癒着が存在し、
スクリュー抜去時に合併症を起こすことがある。
参考文献