casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第407回症例 ≫ 症例:診断

第 407 回 東京レントゲンカンファレンス[2024年2月22日]

症例2 80歳代 女性:内視鏡検査で偶発的に左上咽頭腫瘤を指摘された
多形腺腫
pleomorphic adenoma

 

 上咽頭の良性腫瘍

・上咽頭腫瘍はその多くが悪性腫瘍であり、良性腫瘍の発生は比較的稀である。
・そのなかでは、血管線維腫 が最も多く、その他に神経原性腫瘍、奇形腫、血管腫などの報告がみられる。
・また、上咽頭に小唾液腺由来の腫瘍が発生することもまれである。
・Spiroは、上咽頭腫瘍492例中、小唾液腺由来の腫瘍は10例で、良性腫 瘍は多形腺腫 1例 のみであったと報告している。

 

 上咽頭多形腺腫

・年齢分布 は27〜66歳 、平均50. 8歳
・性別 は男性 6例, 女性6例 と同数
・主訴は鼻閉が6例と最多
・サイズ:15-90mm

 

 小唾液腺由来の多形腺腫

・多形腺腫の約10%が小唾液腺由来
・口蓋、口唇、頬、舌など
・上咽頭では稀
・口蓋部に生じたものは時に巨大化し、嚥下障害や呼吸困難などを生じることがある
・大唾液腺から生じた多形腺腫と比較して、小唾液腺由来例ではその発生部位によっては外科的切除縁を確保する意味で取り扱いが困難な傾向にある


 小唾液腺由来の多形腺腫の画像所見

・小唾液腺由来の多形腺腫における画像所見は耳下腺や顎下腺の多形腺腫に類似する
・緩徐発育型の腫瘍で、通常、分葉状で孤立、類円形、境界明瞭
・内部は不均一で、時に石灰化を含み、嚢胞変性や出血を示す場合がある
・典型的には、辺縁に低信号の被膜様構造を認め、 MRI の T1 強調像で低信号、T2 強調像で高信号、造 影 T1 強調像で均一な増強効果を示す
・しかしながら T2 強調像で低信号を示す場合や、内部が不均一 に認められることも多く、その所見は多彩である
・拡散強調像による見かけの拡散係数(apparent diffusion coefficient; ADC)の計測により、線維粘液性間質の部分が高値を示すとされ 、追加の画像情報として有用であると報告されている


 まとめ

・上咽頭の良性腫瘍は稀であるが、分葉状の形状で、ADC高値を示す腫瘤を認めた際には、小唾液腺由来の多型腺腫も鑑別に考慮する


 


参考文献

  • 東谷敏考, 頭頸部外科 2017; 27(1): 31-35.
  • 久野 博文, 画像診断 2013; 343-354.
  • 耳鼻臨床 98:6;453~457, 2005.
  • Cancer 31:117 -129, 1973.
  • 画像診断 Vol.33 No.3 2013
  • 日本口腔外科学会雑誌 2011 ; 57(6) : 345-349