第 408 回 東京レントゲンカンファレンス[2024年4月25日]
| 症例1 10歳代 男性:腹痛、嘔気 |
| TAFRO 症候群 TAFRO syndrome |
| TAFRO症候群 |
T:Thrombocytopenia(血小板減少)
A:Anasarca(全身性浮腫)
F:Fever(発熱)
R:Reticulin fibrosis(骨髄の細網線維化、骨髄巨核球増多)
O:Organomegaly(臓器腫大)
・Castleman病の亜型として知られる全身性の炎症疾患。
・機序は不明だがサイトカインの異常(特にIL-6)に起因すると考えられている。
| 診断基準1) |
大基準
・☑胸腹水、全身浮腫を含む液体貯留
・☑治療前の血小板減少(100,000/μL未満)
・☑全身性炎症(37.5℃以上の発熱、CRP2.0mg/dL以上)
小基準
・☐リンパ節生検でCastleman病様の所見。
・☑骨髄線維症 および/または 骨髄内巨核球の増加。
・☑肝腫大、脾腫、リンパ節腫大などの臓器腫大。
・☑進行性腎不全
・3つの大基準すべてと、4つの小基準のうち2つ以上を満たすもの。
・2010年に本邦で提唱された疾患概念。患者の平均年齢は54.7歳、死亡率は11.1%との報告あり 1)
。
・多中心性Castleman病と比較して亜急性の経過をたどり、予後不良のため、リンパ節生検の結果を待たずに治療を開始すべき場合がある2, 3)。
・除外すべき疾患は、悪性腫瘍(リンパ腫や骨髄腫など)、自己免疫疾患、感染症、POEMS症候群、IgG4関連疾患など。
・本邦において確立された治療はなく、ステロイドやシクロスポリン、抗IL-6抗体であるトシリズマブが使用されている。
| TAFRO症候群の画像所見 |
・非特異的な所見が多いが、Kiguchi らの報告4)では
胸水、腹水はどちらも100%
脾腫は82%
肝腫大は73%
骨病変は91%
と高率に認められたとされる。
| Matted appearance |
・前縦隔の腫大と吸収値上昇
・TAFRO症候群で比較的高頻度(64%)に見られる所見
・胸腺過形成や胸腺腫が鑑別
・病理組織学的には、リンパ濾胞が散在する膠原繊維から成る病変。
・毛細血管の増生・硝子化と、これを同心円状に取り囲むリンパ球浸潤を認める。
・硝子血管型Castleman病の特徴を示す。
| 骨病変 |
・TAFRO症候群では骨髄の細網線維化により、CTで骨がびまん性にすりガラス状の濃度上昇を示す。
・MRIでは中高年の場合は脂肪髄、若年者の場合は赤色髄の減少として見え、寛解後には脂肪髄への再転化が見られた症例も報告されている6)。
| TAKE HOME MASSAGE |
・原因不明の発熱や血小板減少を認める患者で、臓器腫大や全身性液体貯留といった画像所見を伴う際には、鑑別の1つにTAFRO症候群を挙げる必要がある。
・前縦隔の脂肪織濃度上昇(matted appearance)や、骨のびまん性すりガラス様濃度上昇が鑑別の一助となりうる。
・迅速な診断・治療介入が必要であり、本疾患が疑われる際には臨床医にリンパ節生検・骨髄生検を勧めることも重要である。
参考文献