第 408 回 東京レントゲンカンファレンス[2024年4月25日]
| 症例3 20歳代 女性:右顎部腫 |
| 基底細胞母斑症候群(ゴーリン症候群) basel cell nevus syndrome(Gorlin syndrome) |
| 鑑別診断 |
【顎骨のCT低吸収域(X線透過像)病変の鑑別】
| ●嚢胞性病変 | ●腫瘍性病変 |
| ・歯根嚢胞 ・残留嚢胞 ・含歯性嚢胞 ・鼻口蓋管嚢胞 ・切歯管嚢胞 ・歯原性角化嚢胞 ・側方性歯周嚢胞 ・静止性骨空洞 |
・エナメル上皮腫 ・良性セメント芽細胞腫(初期) ・セメント質骨性異形成症(初期) ・巨細胞肉芽腫 ・歯原性粘液腫 ・悪性腫瘍(扁平上皮癌) |
| Gorlin syndrome/基底細胞母斑症候群 診断基準 |
大項目
小項目
のうち, 2つ以上の大項目または1つの大項目と2つ以上の小項目を満たすこと
【最終診断】 Gorlin syndrome/基底細胞母斑症候群
| 歯原性角化嚢胞 |
・歯原性上皮に由来する単房性または多房性嚢胞。
・好発年齢は10~40歳代(約60%)。
・好発部位は下顎臼歯部~下顎枝部(約50%)。
・病変は歯冠部を含むことが多い。
・無痛性に増大し, これに伴い顎骨の膨隆を認める。
・嚢胞が多発する場合はGorlin syndromeを疑う。
・周囲組織への侵襲性や再発傾向を示すため, 少なくとも5年以上の経過観察が必要。
・嚢胞腔内に“おから状”の角化物を含む内容液を有し, この存在量により, T1WI低~高信号を呈する。
・組織学的には非角化扁平上皮に裏装された嚢胞状組織を示す。
| Gorlin syndrome/基底細胞母斑症候群 |
・遺伝性腫瘍性母斑症の一つ。
・発生頻度は約100,000に1人, 男女差なし。
・常染色体優性遺伝。
・第9染色体長腕のPTCH1腫瘍抑制遺伝子の機能異常。
・歯原性嚢胞, 硬膜石灰化, 手掌足底小陥凹などの発現頻度が高い。
・皮膚所見は基底細胞母斑, 基底細胞癌, 手掌足底小陥凹などを認める。
・髄芽腫は約5%で発症し, 孤発例より若年発症(2歳頃まで)多い。
・診断基準にないが, 髄膜腫の頻度が高い。
| Take Home Messages |
・嚢胞感染を契機に診断されたGorlin syndromeの一例。
・多発する顎嚢胞を見たら, 本症候群を考慮し, 全身検索を推奨。
参考文献