第 408 回 東京レントゲンカンファレンス[2024年4月25日]
| 症例4 30歳代 男性:左陰嚢腫大 |
| 線維性偽腫瘍 fibrous pseudotumor |
| 線維性偽腫瘍 (fibrous pseudotumor) |
・炎症性機序により形成された良性の腫瘤性病変のうち、結核や梅毒、サルコイドーシスなどの特異的炎症は除くもの
・陰嚢内精巣外の良性腫瘍としては脂肪腫、腺腫様腫瘍(adenomatoid tumor)に次いで3番目に多い
・45%に陰嚢水腫を伴い、30%に外傷や精巣上体炎の既往がある
・術前の悪性腫瘍との鑑別はしばしば難しいが、特に若年者の場合は精巣摘除術を回避することが望ましい
| 線維性偽腫瘍の画像所見 |
・ 精巣鞘膜に好発
・ 単発/多発結節
・ 精巣鞘膜の線維性肥厚
・ 境界は明瞭
【US所見】
・低エコーを示す報告が多いが、不均一高エコーを示す報告もある
・カラードプラでは血流がないものから、中等度の血流を示すものまで様々
【MRI所見】
・線維成分を反映し大部分の報告がT2WI, T1WI, DWI低信号
| 陰嚢内腫瘤の診断プロセス |
・陰嚢内腫瘤の画像検査 →まずはUS
・精巣腫瘍は90%以上が悪性、精巣外腫瘍は70%が良性 →病変の由来を正しく診断することが重要
・性状をさらに詳細に評価したい場合、MRIを追加
| 鑑別診断 |
| 陰嚢内 精巣外腫瘤 | 精巣鞘膜由来の多発腫瘤 |
・脂肪腫 |
・脂肪腫 |
| 線維性偽腫瘍 vs 悪性中皮腫 |
【類似点/共通点】
・精巣鞘膜に好発
・単発性、多発結節のいずれも呈しうる
・陰嚢水腫を伴うことがある
・MRIのT2強調像で低信号
【鑑別点】
・好発年齢は、線維性偽腫瘍(30~50歳台に多い) < 悪性中皮腫(中央値60歳)
・増大速度は、線維性偽腫瘍 < 悪性中皮腫
・拡散強調像で、線維性偽腫瘍は低信号、悪性中皮腫は高信号
| Take Home Message |
・精巣鞘膜と連続する多結節状の腫瘤
・超音波検査で低エコー
・MRI検査のT2強調像・拡散強調像で低信号
→線維性偽腫瘍を鑑別の上位に挙げ 、精巣温存につなげる
参考文献