●症例 5  50歳代 男性

●確定診断とその説明:
 1. 脊髄硬膜動静脈ろうに合併したSAH
 2. 右中大脳動脈分岐部の未破裂動脈瘤

<SAHを来す原因>
外傷性が最も多い
非外傷性としては
1. 破裂脳動脈瘤(75 〜80 %)
2. 脳動静脈奇形(4 〜5 %)
3. 血管炎
4. 脳腫瘍
5. 動脈解離
Dural AVFの出血は静脈圧の上昇で起こる
fisulaからではなく静脈の破綻で出血する

<Dural AVF>
☆ 動静脈短絡が椎間孔近傍の硬膜表面に存在
頻度 頚髄レベルはまれ
Th 3-12 (67 %) > L 1-4 (17 %) > Sacrum (9%)
☆広義の Spinal AVM の中で最も多い。

<Dural AVF の特徴>
1.  中年男性に多い
2.  外傷歴や手術歴のあることが多い
3.  動静脈短絡は1つで小さいものが多い
4.  出血で発見されるよりは脊髄症状主体
流入動脈 根動脈、硬膜動脈
流出静脈 根髄静脈から脊髄静脈や軟膜静脈叢へ逆流

<Dural AVFの画像所見>
CT&CTA 
1.  出血
2.  異常血管の集族や造影効果
Angiography
1.  椎間孔付近に短絡を示す小血管の集族
2.  拡張蛇行した脊髄表面の多数の血管
3.  静脈還流が緩徐で高位の根髄静脈から流出
MRI
1.  脊髄の偏位、萎縮、腫大(浮腫)
2.  出血
3.  異常血管(拡張静脈)

☆ 画像では出血の有無と異常血管の描出をとらえる
☆ MRAによる異常血管描出の報告は多い

<治療>
血管内手術または外科的手術

・血管内手術 
根動脈から短絡のより近傍で塞栓する
・外科的手術
適応 動静脈短絡が多数あるとき
   流入動脈が多いとき
流出静脈にクリップをかける

参考文献
1) 飛騨一利ほか:脊髄動静脈奇形.図説脳神経外科 New Approachi 脊髄:メジカルビュー社 東京, 7 : 154-161, 1999
2) Binkert, CA et, al: Spinal Cord Vascular Disease: Characterization with Fast Three-Dimensional Contrast-Enhanced MR Angiography. AJNR Am J Neuroradiol 20: 1785-1793, 1999
3) Kinouchi, H et. al: Dural arteriovenous shunts at the craniocervical junction. J Neurosurg 89: 755-761, 1998

 
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moderator : 飯沼優子



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