症例7:40歳代 男性

主 訴:腹痛
現病歴:200X年12月26日午前2時頃より呼吸困難出現.
朝仰臥位で倒れているのを家族が発見し救急要請.近医に搬送され糖尿病性ケトアシドーシス (DKA)疑いにて当救命救急センターを紹介受診した(12:00).
来院時現症:意識 JCS 300点,BP 60 / F mmHg, P 113 / min, RR 30 /min, SpO2 (O2 5L/ min) 100 %, 心音:純,雑音なし,呼吸音; 整,ラ音なし,四肢浮腫なし
入院後経過:DKAの診断にて生理食塩水2 L/h 点滴静注,インスリン持続静注にて治療開始.その後意識はJCS -3に改善.その後 0.45% 食塩水 1000〜1500 ml/h DIV持続するも,BP 50〜60 /F mmHgで,排尿なしのため,塩酸ドパミン持続静注( 10γ) 開始.合計8700 ml補液しても依然循環動態は変わらず,ノルエピネフリン持続静注(0.1 γ)開始. BP 100/60 mmHgに上昇し,意識もほぼ清明となった.その後腹痛を訴えはじめた.
CPK : 6300 IU/L (21:00), 15000 IU/L(23:00), Amy 468 IU/L
●提示画像(画像をクリックすると拡大された画像がみられます)
来院時 腹部単純写真

明らかな異常所見を認めない。
 
腹痛時 腹部単純写真

小腸ガスの拡張,ケルックリング襞の肥厚を認める。
 
CECT (arterial phase)

小腸の拡張と壁肥厚を認める.小腸壁は良好に造影される部分と造影効果に乏しい部分が認められる。上腸間膜動静脈は太いレベルでは開存しているが,末梢では造影効果に乏しい。腸間膜に液体貯留を認める.
 
delayed phase

やはり造影効果に乏しい小腸を認め,壊死に陥っていると考えられる。腸管壁にairは認めない。
 
coronal view

小腸の拡張と壁肥厚,上腸間膜動静脈末梢の描出不良を認めるが,太いレベルでは閉塞を認めない。
3DCT

上腸間膜動静脈は開存している。右外腸骨動脈,左総腸骨動脈に閉塞を認める。
 
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moderator : 佐々木真弓,西巻 博,磯部義憲


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