症例2:60歳代 男性

診断:トキソプラズマ脳症

<原因>
原虫であるトキソプラズマ(Toxoplasma gondii)による感染症
・健常者は感染しても,90%は無症状(潜伏感染は継続)

<病態>
免疫機能低下による再燃(特に、HIV患者でのトキソプラズマ脳症免疫機能低下により脳組織内に感染・潜伏していたトキソプラズマcystの活性化で発症する。)
<臨床症状>
初感染は90%が無症状
トキソプラズマ脳症:数日から数週間での片麻痺、知覚障害などの巣症状や意識障害、けいれんなどの中枢神経症状(多くは発熱も伴う)

<診断>
1)確定診断
 脳生検(治療的診断開始1,2週間での臨床症状や画像所見の改善がない場合や診断に苦慮する場合)→ 合併所リスクを伴う
2)治療的診断 経過観察,血清抗体検査,画像検査から
 血清抗体検査:血清トキソプラズマIgG抗体陽性(感染後1から2週間で陽性,終生高値)
 画像診断:浮腫を伴う多発する腫瘤影(造影で腫瘤辺縁部リング状に増強効果を示す)
 その他:髄液PCR法による遺伝子検査(感度は低いが、特異度は高い)

<鑑別診断>
脳原発悪性リンパ腫(PET SPECTで病巣への集積)

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Moderator:中西 淳

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