第305回 東京レントゲンカンファレンス
2008年05月22日開催

症例5 70歳代 男性
 

経過
・肝腫瘤精査、加療目的にて入院。
・画像所見より悪性病変否定できず、エコー下 biopsyを行った。
・入院中も炎症所見遷延。

 

炎症性偽腫瘍:Inflammatory pseudotumor

 

 

 

 

炎症性偽腫瘍
・炎症細胞浸潤と繊維化を主体とする炎症性腫瘍類似病変。
・原因不明(感染や閉塞性静脈炎など)
・様々な呼び名(Xanthogranuloma,Plasma cell granuloma,inflammatory myofibroblastic tumorなど)があり。

発生部位
 全身どこにでも起こる。(肺や頭頚部が多い)

発症年齢
 すべての年齢に起こりうる。(比較的若年者が多い)
 50%程度に発熱や炎症所見あり。

肝の炎症性偽腫瘍の画像所見
CT
・非特異的(炎症や線維化の程度により異なる)
・辺縁の濃染(線維成分)
 -細胞浸潤と線維化の2層構造は病期の一時期を反映しているに過ぎないとの説も
・CCCや転移性腫瘍との鑑別は困難
・造影パターンやサイズの短期間での変化
MRI
・線維化や炎症の程度によりT1WI、T2WIは様々な信号強度を呈する。(線維化が強いほどT2WIは低信号)
エコー所見
・低エコー域と高エコー域が不均一に存在。高エコーが線維化を意味する。

 

症例提示ページへ


Moderator:荻野 展広